231「想い出の深夜食堂」

10.16.sun./2011

★偶然

偶然ってあるもんだ。

今夜のお勘定シーン。
「はい、3460円です。ありがとうございました!」
「マスター、こっちもお愛想」
「は〜い・・・3460円です・・・あれれ?」
「どうしたん?」
「いまのお客さんとおんなじ3460円!」
「へぇ〜、そんなこともあるもんやねんね」
しばしのち、別口のお勘定。
「はい・・・3460円・・・です」

ちなみに、人数も飲み物もまちまちでした。

★深夜食堂

閉店後、毎日放送の深夜番組「深夜食堂」録画分をバックミュージック代わりに、お客の蘭ちゃん、ニノマイくんと三人、軟骨塩焼き、冷奴を肴に店で一緒に酒飲んでると、テレビ画面に懐かしの「あ、安田道代・・・」

画面に写ったのはかつての大映の、「野菊の如き君なりき」「氷点」みた中学時代に、女優という存在を初めて意識させてくれた4歳年上の、安田道代さん。
そして初めてファンレターなるものしたため返事くれたのも、安田道代さん。
あ〜、ボクの麦藁帽子どこへいったのでしょう?的、あのお返事どこにいったんでしょ?
・・・味しめてデビューしたばかりのいしだあゆみにもファンレター出したけれどこれは無視され、これで私はあゆみファンをやめました。

高校時代に住んでいた南紀に初めてのデパートができた。
その最上階大食堂に彼女そっくりなウェイトレスが・・・。
人づてに1〜2歳年上と知り、年上に興味を抱いたのはこのときが人生最初で最後。ちなみに我輩、同世代好み派。
で、ご飯物でいちばん安い玉子丼80円を毎日ほど食べに、いや彼女の顔みたく通っていた(薬局の女の子に恋したら、耳かきがいちばん安いようだ)。
これは今ならストーカー?
いやこの時代、これは純愛という死語で呼ばれていたのだ。
「何なさいます」「玉子丼を」の会話だけで終わってしまった、安田道代もどきさんへの淡い恋・・・。

後年、安田道代は我輩と全然ちゃうタイプの若宮富三郎(勝新の兄)と結婚。大楠道代と名を変え、近年では阪本順治監督、藤山直美主演の傑作「顔」に脇役で出演していたのを最後にお見かけしての、この「深夜食堂」!
本日昼間、先の酒席でちらちらみただけのその第9話「アジの開き」をあらためてみた。

「営業時間は夜12時から朝7時ごろまで。人は深夜食堂っていってるよ」とのナレーションで始まるその小さなめし屋に、小粋な和服女性(安田道代)が食事に訪れる。
「どちらから」と小林薫演ずる店主たずねると「肥後の熊本」「なまってないねぇ」「もとは江戸っ子だもん」

「う〜ん、年取ってか昔の面影薄れて声もかすれてるけれど、やっぱりいいなぁ、安田道代・・・」

彼女の役柄は、新宿ゴールデン街ストリップ劇場の幻の名ストリッパー「ローズ美千代」(うん、ここでもミチヨか、と納得)という物語だったのだが、はい、み終わってのエンドロール。

配役名が流れる・・・ん?
「大楠道代」の名前ない?
巻き戻す。
ん?ないやん?また名前変えた?
巻き戻す。
小林薫の名の次に、「リリィ」
ん?あのぶす女が(ごめんなさい、ボク取り乱してまして。端役の別の若手ストリッパーのことです)、あれがリリィかぁ?まっさかなぁ!若すぎるし、70年代のヒット曲「私は泣いています」歌ったリリィは我輩好みやし、と錯乱状態下、ようやく酒漬け脳細胞の我輩、理解した・・・。

青春時代を懐かしく思い出させてくれた安田道代、と思い込んでいた役者は、歌手リリィだった。
そういえばあのかすれ声、リリィやん!
そういえばリリィを初めてみたとき安田道代系顔立ちや、と思ったことがあった。年とって変わったとはいってもなにが「ローズ”美千代”」や、そんなことで納得したおのれが恥ずかしい・・・。

道代さま、すみません。
ん?リリィもええなぁ・・・。

「メニューになくても、できるものならな〜んでもつくるよ」と小林薫のナレーションで物語は終わってしまった。

「想い出の深夜食堂」完

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