233「時計仕掛けのオレンジの悪夢」(番外編)

11.30.thu./2011

★「ぼくのエリ」

10月からwowowは番組改編で1チャンネルから3チャンネルに。
ある週刊誌記事に「極端だが、民放番組のあまりのくだならさで将来はwowowとNHKに集約されるんではないか」とあり、我輩いまやこれらの番組オンリーゆえ、ウ〜ム、一理あるんではの昨今。

その映画専門チャンネルで、イラストレーターの安西水丸と放送作家の小山薫堂の対談で始まる「W座からの招待状」もスタート。

先日そこでとりあげられた作品が、スウェーデン映画「ぼくのエリ」
こんな少女趣味的な題の映画なんてはなからみないはずが、副題「200歳の少女」とあり、主人公のいじめられっこ少年が隣家に越してきた少女と親しくなるのだが、彼女は孤独な吸血鬼だったという内容で、みた。

やはり北欧、抜けるような色白の少年が(当初この少年が吸血鬼かと思ったほど)印象的な作品。
この種の作品といえばむかしむかし深夜テレビでみた、フロントガラスふくめ窓を黒く塗りつぶした黒の大型バンに乗った数人の吸血鬼が行く先々のアメリカの田舎町で人を襲うという、当時では目新しい「現代版」吸血鬼映画があった。
ラストただひとり生き残った吸血少年が真昼の太陽の下、田舎町の道路を走りながら燃え尽きてゆくというシーンが強烈で、もう一度みてみたいと思い続けているけれど、題名失念。

う〜ん、話がそれたが、放映後の対談がイケナイ。
安西さんはそのイラストで知ってはいたが、薫堂は名しか知らなかった。
で、その薫堂いわく「怖かった。ぼく、ホラーダメなんですよ。一人でみれないんです。怖くって途中でみるの止めました。で、昼間に人がいるときに続きみたんですが」云々。

五十近いひげ面のオッサンが「コワッイ〜」ですぞ。
その「コワッイ〜」発言の彼の顔つきふくめ生理的嫌悪感じてこの映画、スウェーデンと色白というのしか印象に残っていず。

ちなみに、プログラムガイドでの作品おすすめポイントは、「ホラー映画が苦手な人でも大丈夫。12歳の少年とほぼ12歳の少女のラブストーリーとしても秀逸」とあり、こんな真逆な対談よりプログラムガイドの方がみる気起こさせる?

★「時計仕掛けのオレンジの悪夢」(番外編)

1日午前、とうとう3回目の労災病院行。

今回は今までと違って店を3時過ぎに閉店でき、診療予約時間に間に合わせるべく早々に就寝。
が、この数日、前回の能天気な気分に比べ、不安感あり。
というのも2回目のレーザー手術後、目の奥の鈍痛、時々視野になぜかキラリの症状(これは気のせいかも)で、今回こそはただでは済まぬ、よりハードな手術待ち構えてる予感。

それゆえ待合室でも持参文庫本手にする心の余裕もなく、検査時間到来。
いつもの若輩くそセンセ「う〜ん、ちょっとひどいですね・・・」
我輩「・・・」(手術は日を改めてって頼もかな)
若輩くそセンセ「今日は左目、レーザーしましょう」

なんや、またレーザーかいな!もうボクの目、焼きすぎてボロボロちがうか?
・・・ま、ボクの予想、はずれが常というのは前回でもお分かりでしょうが。

術後、若輩くそセンセ「こういうレーザーが開発されてなければ危ないところです。わたしが発見できた箇所は一応処置しましたが、今後なにか異常を感じたらすぐ病院に来てください。ま、一生眼科と付き合うことにはなりますが」
・・・検査するたびに「発見」すんなよなぁ、若輩くそセンセ。

次回検査は1ヵ月後。蛇の生殺し状態は永遠につづくのだった。

★勘違い

店に帰り、睡眠不足ゆえ少しでも寝ておこうと文庫本手に横になる。
手にしたのは、スターリン政権下のソ連で市民を摘発し、秘密警察本部地下のルビヤンカ監獄に送り込むことを任務とする秘密警察KGBの敏腕捜査官レオが主人公の傑作「チャイルド44」のそのレオが、なんとシベリアの流刑地に囚人として送り込まれ、そしてそこには彼が捕らえた人々も収容されているという続編「クラーグ57」につづく本書完結篇は、任務に疑問を感じての退職後の物語「エージェント6」

退職?
今までのドラマチックさは期待できんの?
とその上巻読み始めると・・・いやぁ、久々にページ繰る手が止まりませんでした。
「あ、眠らなあかん、眠らなあかん」と思いつつもうはや午後5時。
無理に眠りにつく・・・が、ページ閉じた続きが気になって気になってなかなか寝つけず・・・(で、この時点、未読)

固定電話のベルの音で目覚める。
電話機まで遠し。かつセールス電話が多いので出ない。
時計を見る。
起床予定時間の5分前。
くそ、眠った気せぇへんなぁ、としぶしぶ起きる。

6時半からのNHKニュースのチャンネルオンし、オープン準備。
「はて、なんでこんなバラエティみたいなモンしてんの?」と新聞テレビ番組欄みるとニュースの時間帯は時間帯。
「こんなアホらしい特集すんなよな」と音量消して準備をつづける。

で、きっちり19時オープン。
ホッとして時計をみる。
寝ぼけてた・・・まだ18時だった。
眠たいはずやん・・・。

★「今夜の本!」

今回は墨丸会員388号Cちゃん持参の3冊(以下はボクのオススメ順)

@「ForYou」(五十嵐貴久。祥伝社文庫)
A「真夜中のパン屋さん」(大沼紀子。ポプラ文庫)
B「年下の男の子」(五十嵐貴久。実業之日本社文庫)

まぁ、ともに題名だけでは我輩決して手にとらぬ作品。
なれど、@Bの五十嵐さんは侮れぬ作家。
彼のデビュー作「リカ」は異常な女につきまとわれる男の地獄を描いたホラーの傑作ですし、以後の作品が時代小説あり警察小説ありの驚くほどジャンルを選ばぬ作品を書き続けることができる方。

今回は共に恋愛がテーマ・・・え、あのハードな五十嵐さんが「恋愛」小説?
読後、貸してくれたC姉にメール「黒ラーメンの辛いスープで泣き、本作でも泣き・・・」云々と。
黒ラーメンは彼女の出張先のおみやげで、黒コショウを使ってのまさに黒いラーメン。で、真っ黒のスープは辛すぎて飲み干せずの代物という珍しいモノだった。

ま、泣くというよりホロッとした作品は、「ForYou」
最愛の叔母が急逝した直後の映画雑誌の新米編集者が、韓国の大スターのインタビューを担当することに。
で、亡くなった叔母の遺品である高校時代の日記に書かれた初恋話とインタビューに至る話が交互に描かれる。ですが、前半のその日記部分「なんやこの本、どこが面白いねん」と、淡々とした流れにイライラ。
が、この流れなくして後半の感動、ありえぬのだった。
まさに宣伝文句の「ラストに起こった奇跡に感動!」ですよ。
評価4/5(「淡々」なけりゃ5なんだけど)。

「年下の男の子」なぁんて、さらに読む気起こらぬ題。
37歳のОLと23歳の出入りの営業マンとの恋愛話ですぞ。
14歳もの年上女性に惚れる男の心情が理解できぬ。
が、これがまた否定・反発しつつも読めるのだ・・・。
でも読後、しらけてしまっての、評価3/5。
はたまたでも、続編「ウエディング・ベル」読みたい気分に。

「真夜中のパン屋さん」も触手動かずの題名。
でもこの「まよパン」結構売れてるようで、読後納得。
真夜中から開店するパン屋さんで働く人々(なんで真夜中なんやろ?)、そのパン屋にめぐり合った人々の人生ドラマが読ませるし、これまた育児放棄された少年こだまをふくめ、魅力的な人々満載のホッとする小説。でも、こだまの養育権の問題どうなったんやろ?で、評価3/5。

決して自分からは買うことがないこれら秀作本にめぐり合えることに感謝!
 
「時計仕掛けのオレンジの悪夢」つづく

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