260「ドキュメンタリー 監督失格」

11.16.fri./2012

★AV女優と監督

早閉まい可の日曜日、午前1時から墨丸会員691号ポストマンと居酒屋に。
ポストマンと別れての午前3時頃店に戻り、眠気に襲われるまでと録画したWOWOW番組をチェック。
もちろん我輩酔っていて番組に集中できるはずもなく、途中で消去可程度のをと、監督名も題名も聞いたことのない平野勝之監督「監督失格」を選定。

この作品、みはじめて「ドキュメンタリー仕立てのドラマ?」かと。
というのも、34歳で急逝したという女優・林由美香の(こんな方、知りませんし)その日常を由美香の元愛人でもある平野監督が(こんな方も、知りませんし)撮影した記録と、彼女の死に監督が向き合う姿を描いた作品とか。
で、26歳の由美香と監督が東京から自転車で北海道の礼文島まで走破する模様が延々と綴られている。ドキュメンタリーというほどでも、かといってドラマというほどでもない作品なわけで・・・失礼、酔眼酔脳ゆえ。

そのなかで、彼女が有名なAV女優であり、二十歳の頃から彼女の作品を撮り続けていたのが平野監督と判明。
それで「ああ、ドキュメンタリーなんだ」と納得させられたわけですが、AVゆえどうりで女優、監督お二人とも我輩知らぬはず。
ましてや「有名なAV女優・由美香」といえどもこの作品ではその日常素顔はどこにでもいるような女性、というより非常に醜くい素顔が写っている場面多々ありで、いくら売れっ子だったとしても「え〜、こんなタヌキみたいな子のAVなんてみたくもないなぁ」

眠気に襲われ、途中早送りもしての終盤。
05年6月27日、昼間の場面。
自転車旅行後に二人は別れていて、でも監督は由美香34歳の誕生日に彼女との約束で久方ぶりにその日の生活を撮影しようと助手の女性とマンションを訪れる。

部屋のドア前から撮影スタート。
チャイムに応答なし。携帯は留守電のまま。
監督はいう。
「昔、付き合っていたヤクザみたいな男に監禁されて撮影現場に来なくってスタッフに迷惑かけたことはあったけど、それ以来こんなことは初めてだ」

翌日の夜、再度部屋を訪れる。
郵便受けをのぞきこんでの気配ではペットの犬は室内にいる模様。
これら様子を監督助手は撮影し続けている。
ラーメンチェーン店「野方ホープ」社長の母親(キャラがすごい。俳優の柄本明かと思った)に連絡。状況を話し合鍵を持って来てもらう。
母親笑顔で監督に「平野さん雰囲気変わったね、太った?ふふふ」などと話しかけながら、ドアが開けられる。

母親「くさいね」といいながら娘の名を呼びながら廊下の奥の部屋に。
そして母親「こわい!どうしょ!倒れてる!」
部屋を覗いた監督「現場は維持しといたほうがいいと思います」
取り乱し叫び続ける母親。
その彼女に尾を振りながらまとわりつく狆のような犬(人の悲しみなんてこの系統の畜生は理解していないんだと改めて思わされた。柴犬はちゃうぞ、たぶん)
廊下に置かれたカメラがその一部始終を撮影している。

死亡時刻は6月26日、夜の10時頃。誕生日迎える2時間前。
新聞、週刊誌はあることないこと書きたてたが、死因は酒と睡眠薬による事故死。

気持ちのやり場のない母親は死について、平野が何か関わっているのではないかとの疑惑を抱く。「なぜここにカメラがあるのか?」
撮影されていたことが疑惑の主な要因だった。

06年。平野、母親、弁護士の三者で合意書が交わされ、撮影テープは封印されることとなった。
しかしその後、平野に心を開き始めた母親は4年後、合意書解除。
そしての作品がこの「監督失格」(自転車旅行中、由美香とケンカした最悪の状況を監督は撮影していず、由美香に「監督失格」といわれていた。今回の死の現場も最後まで撮影しきれなかったことからの題名とか)

「死」の現場をまざまざと見せつけられるなんて衝撃。一気に眠気が吹き飛びました。傑作というより衝撃作ですか・・・。

傑作ドキュメンタリー作品に関しては、200「日本兵サカイ・タイゾーの真実」(09年「地方の時代」グランプリ受賞作)と、同ページ記載の原一男監督
87年作「ゆきゆきて、神軍」(TSUTAYAレンタルあり)がオススメ。

ノンフィクションのガイドブック「ノンフィクションはこれを読め!」が中央公論新社から出ました。
厳選150冊のオススメ本が紹介されてるとか。ドキュメンタリー好きな我輩としてはぜひ購入したいと思っています。

★「墨丸会員の動向!」

新・墨丸会員869号「シンジさん」♂
A型。和歌山県出身。塾講師。
「ふらっと立ち寄りました!すごく良い雰囲気で気に入ってます!墨丸最高!」

「ドキュメンタリー 監督失格」完

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