276「パインズ!」

4.7.mon./2014

★前回に続いて「本」のお話でごめんなさい・・・。

「読まずに死ねるか!」とばかりに、ブレイク・クラウチ「パインズ」(ハヤカワ文庫)購入。
帯コピーに「このラストは絶対予測不能!amazon.comで500超の五つ星獲得!ナイト・シャマラン監督映像化決定」と。

「五つ星」云々のくだりはアナログ人間の我輩はよう分からんが、「予測不能」や傑作映画「シックスセンス」監督の「ナイト・シャマラン」の文言かつ裏表紙解説の「この美しい町パインズはどこか狂っていた」の一行で、「ああ、読まずに死ねるか!」と。

断崖絶壁に囲まれた、でもこの世の楽園のような美しい小さな町に、捜査官イーサンは同僚とともに訪れる。かつての愛人ケイトをふくむ二名の捜査官がこの町に向かったあと音信不通となったためだ。
が、その町でイーサンたちは交通事故に遭遇。同僚は即死。イーサンは数日後に病院で目覚めるのだが、なぜか身分証明書、財布、携帯電話など私物一切が紛失している。そのことを尋ねた看護婦の応対もなにかおかしい。上司へ連絡しようにもなぜか電話もつながらない。イーサンは病院を抜け出す。コオロギが一匹だけ足もとの草むらで鳴いている。そのコオロギの姿を目で追うと、その鳴き声は金属のボックスから流れ出ている人工のものだった・・・。
金もなく空腹にさいなまれたイーサンはある家のガーデンパーティから漂う料理の匂いにつられその庭に足を踏み入れる。そこには、行方不明だったケイトが、それも「年老いた」ケイトが、いた・・・。
何なんだよ、この小説は!
ハヤカワ「SF」文庫じゃないよなぁ〜、これは?
副題は「美しい地獄」

英国の傑作ドラマ「プリズナ―bU」(主人公の情報部員が目覚めた場所は孤島の町。なぜかそこからの脱出も外部への連絡もできない。自分は囚われているのかも不明。住民たちは敵なのか味方なのか?)や、シャマラン監督の「ヴィレッジ」(怪物が生息しているという森に囲まれた村で人々は世間から隔絶された生活を送っているのだが・・・)などを思わせるパインズの町の謎に魅了されるも、中盤から町中の住人に追われる展開はジャック・フィニィの傑作小説「盗まれた町」の描写そのもので既視感ありあり。で、ちと評価ダウンながら、はたしてイーサンは愛する家族のもとに帰還できるのか?と、即読了。

「コオロギ」「年老いたケイト」の時点で熟考すると「予測不能」でもないか?我輩にはそんなの無理やけど。考える間もなく夢中になって読み進んでしまう性分やから・・・。で、評価5。
※我輩好みのこんな本読んでしまうと、続けての傑作本にはなかなかめぐり合わぬのが経験上分かっているゆえ、現在読書欲皆無なり。
※本作の続編があるという&シャマラン監督作品は連続ドラマ化らしい。楽しみ!

「パインズ!」完

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