293「新・今夜の映画!」

1.1.thu./2015

あけましておめでとうございます。
新年からスタートの、「新・映画紹介」コーナーです。
昨年12月に観た22本の紹介と5段階点数での寸評付き!
評価4以上がオススメ作品。

★「今夜の映画!」

1「氷の処刑人」(米/2013)
家庭では良き夫、良き父親でありながら生活のため100人以上を殺害し続けたといわれる実在の殺し屋リチャード・ククリンスキー(通称アイスマン)の半生を描く・・・。
B級作品だろうとなめてたのは間違い。馴染みのないマイケル・シャノンが演じているのもリアル感ありで、 3.5。

2「北のカナリヤたち」(日/2012)
東映創立60周年記念作。湊かなえ原作。阪本順治監督(好きな監督さんです)。日本アカデミー賞受賞作。6人の小学生時代に起きたある出来事の秘密が彼らの成人後に明らかになっていく、吉永小百合主演映画・・・。
力作か。でも生理的に嫌いなタイプの森山未來(タレ目男が嫌で。大沢たかお、板尾創路の作品も観ない)のラストの叫びでさらに、ゾッ! 3.0。

3「容疑者X 天才数学者のアリバイ」(韓/2012)
オタク系男が隣家の母娘による殺人事件を隠蔽しようとする東野圭吾著「容疑者Xの献身」の韓国映画リメイク版・・・。
原作が優れてると日本版観ていても観れるもんです。 3.5。

4「フィツカラルド」(独/1982)
名匠ヴェルナー・ヘルツォーク監督、怪優クラウス・キンスキー主演の異色作・・・。
アマゾン奥地にオペラハウスを建設する夢の実現のため、手付かずのゴムの木の群生を求め未開のジャングルに大型蒸気船を陸揚げ、山越えさせるシーンはかつて観た時、夢に出てきたほど強烈な印象。同じコンビによる、エルドラドを目指したスペイン探検隊の末路を描く「アギーレ/神の怒り」(1972)も一見の価値あり。 3.5。

5「ふるえて眠れ」(米/1964)
名匠ロバート・アルドリッチ監督と名女優ベテイ・デイヴィスのコンビによるスリラー第2作。アメリカ南部の荒れ果てた豪邸に住む老婆は少女時代に不倫相手が惨殺されたことで精神を病んでいる。その彼女が更なる狂気に追いやられた果てに知る真実とは・・・。
劇場公開当時は傑作かと。でも時代の流れもあり現在評価は3.5。でもでも彼女の鬼気迫る汚れ役の演技は、5!

6「何がジェーンに起こったか?」(米/1962)
本作もロバート・アルドリッチ監督とベテイ・デイヴィスとのスリラー第1作。名子役ながら高慢なジェーンと不遇な姉ブランチの姉妹は成人後立場が逆転。姉は名女優、妹は大根役者に。そんなさなか、ある事故で姉は車椅子生活となり二人は芸能界を引退。屋敷の二階で軟禁状態の姉に妹(B・デイヴィス)は執拗な嫌がらせを続け、醜い老婆ながら子役時代の名声を捨てきれぬ彼女は次第に狂気に陥ってゆく・・・。
上記2作とも邦題が秀逸。公開当時これも傑作かと。「ふるえて眠れ」も姉役ジョーン・クロフォードとの共演企画を、デイヴィスが「彼女の座った便器に腰掛けるのもイヤ」と拒否したとか。個人的には本作をオススメ。現在評価3.5。

7「蜘蛛女のキス」(ブラジル・米/1985)
南米のとある国の刑務所に収監されている政治犯とホモの二人の心の交流を描いて、ウイリアム・ハートがアカデミー賞主演男優賞を受賞・・・。
「途中で観るのを止めたコーナー」を作ろうかと思ったほど監房での会話中心の展開が退屈かつもともと好きでないハートのホモ役が気色悪くって全編早送りで観終わる。秀作「蜘蛛女」(1993/ゲーリー・オールドマン主演)とお間違えなきよう。1.0。

8「リデック:ギャラクシー・バトル」(米/2013)
無人の惑星に不時着した宇宙船乗組員達が22年ぶりの皆既日食で暗黒と化した地でクリーチャーと遭遇するサバイバル・バトルの佳作「ピッチブラック」(2000)シリーズ3作目。今回は、主人公リディック(肉体派男優ヴィン・ディーゼル)が置き去りにされた惑星で彼を追ってきた集団との戦いに挑む・・・。
「エイリアン」的な逃げ場のない限られた空間での恐怖を描いた「ピッチブラック」に比べ、舞台が惑星というだけのありふれたアクション展開。3.0。

9「ツイステッド」(米・独/2004)
我輩好みのアシュレー・ジャッド扮する殺人課女刑事と一夜限りの肉体関係を持った男たちが次々と殺害される。その時刻の記憶を消失している自分が犯人ではないかと苦悩し始めると・・・。
意外性に富んだスリラー。なれど「ああ、こんなオチって映画、今までにもあったよなぁ」で、3.5。

10「サイド・エフェクト」(米/2013)
自殺願望の女性に精神科医は新薬を処方する。が、その副作用で事態は思わぬ展開に・・・。
薬害ドラマと思いきや、誠実な医師を陥れるこれはサスペンス物。「ツイステッド」を上回るどんでん返しも痛快。3.5。

11「グランド・イリュージョン」(米・仏/2013)
4人のマジシャンがその技能を駆使し、ラスベガスの会場にいながらパリの銀行の大金を瞬間移動で盗み出し会場にばらまく。その彼らを追う捜査官たちとの攻防のドラマ・・・。
映画とわかっていながらもマジシャンたちのテクニックに冒頭から魅了され、かつ意外な黒幕が判明するラストは上記2作を超えていて、4.0。

12「ファントム 開戦前夜」(米/2013)
冷戦時代に謎の沈没をしたソ連潜水艦の史実から描き出した第三次大戦の危機を描く・・・。
が、主演のエド・ハリス以下ソ連潜水艦乗組員が喋るのは「英語」。今どきソ連人が英語を喋る作品作るコト自体が三流か。またテロリストが艦を乗っ取り核ミサイルを米国に向け発射するという脚本も凡庸。2.0。

13「プロフェシー」(米/2002)
アメリカで実在するといわれる「蛾男(モスマン)」を題材にしたリチャード・ギア主演の秀作。冒頭、なぜか一時間で600キロも離れた見知らぬ町に車で移動していた主人公が近くの民家を訪れると、その家の主人に3日連続で深夜に訪ねてきたストーカーだと訴えられる・・・。
この展開にはゾクゾク。主人公には身に覚えもないこの出来事から大惨事を予言する「蛾男」の存在が浮かび上がってくるという超常現象ドラマ。二度目の鑑賞ながら好きです、こんなの。4.0。

14「カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇」(仏/2013)
ロダンの愛人で、彼に捨てられ精神に異常をきたしたカミーユの精神病院での生活を描く・・・。
我輩としてはカミーユとロダンの関係も知らずして観始め、女の病院生活だけの描写に「これってなんの映画?」。院長がカミーユの弟に姉の退院を勧めるもそのまま捨て置かれ死去することにも「?」の消化不良作品。主演のジュリエット・ピノシュが「ポンヌフの恋人](1991)の頃に比べ老けていたのが(当たり前やけど)印象的なだけだった。1.0。

15「サイレト・ハウス」(米/2011)
湖畔の空き別荘を手入れしようと父娘と叔父の三人が訪れる。荒らされぬよう窓を板で塞いだ闇の室内。そこで何者かが次々と三人を襲い始める、ウルグアイ映画「SHOT/ショット」のリメイク版ホラーとか・・・。
闇の中を逃げまわる少女の恐怖心がひしひしと画面から伝わってくるようで、犯人の正体も意外な佳作。4.0。

16「シアター・ナイトメア」(英/2014)
映画のデジタル化で職を失ない劇場の売店で嫌々ながら働くフィルム技師が観客のアベックを劇場に閉じ込め、防犯カメラを駆使して自分好みのスリラー映画を作ろうとする・・・。
我輩だったらこう対処するやろなぁ、とたびたび思わせるほど被害者も加害者も単純浅はか。2.0。

17「ハウンター」(加・仏/2013)
濃い霧の中の一軒家。少女は弟からのトランシーバーの呼び声で目覚める。朝食はマカロニチーズ、昼食はミートローフ。食事中の会話。父親は車の修理。母親はブラウン管テレビでコメディを観る・・・そんな日常がなぜか毎日繰り返され続けていることに突然少女だけが気づく・・・。
この冒頭の掴みどころが良くって「この世界はなんなのだ?」と。でもそれはまぁ想像したとおり、呪われた「死後の世界」なわけで、以降の展開もかつてどこかで観たような・・・。秀作「CUBE/キューブ」の監督作。3.5。

18「テストN」(豪/2012)
ユダヤ人強制収容所の生存者という亡き祖父が実はナチだったと知った映画監督が、なぜか強制収容所(らしき建物)を作り、ナチの軍服(らしき服)姿の男が一人の囚人(らしき人物)に労働を強いる・・・。
登場人物3名の男たちが皆ひげ面かつ画面が暗すぎ誰が誰だかも、何をしたいのかもすべてがわからぬまま終わる、今月最も中途半端な駄作。1.0。

19「サイコ2」(米/1983)
名作「サイコ」(1960)の23年後を描く・・・。
WOWOW放映中ドラマ「サイコ前章 ベイツ・モーテル」は主人公ノーマン・ベイツの少年時代を描き、ノーマンの住む町自体も怪しげ等と新たな視点盛りだくさんな作品。「サイコ2」「サイコ3」は青年期を過ぎたノーマンをアンソニー・パーキンスが続演しているのだけれど、名匠ヒッチコックの非監督作ゆえ恐怖感は乏しい。しかしあの屋敷がテーマミュージックと共に画面に写し出されると相変わらずドキドキするし、ノーマンの狂気の人生を描いた大河ドラマとしては観る価値ありか。3.0。
※若き日のパーキンスに習い、ボタンダウンのシャツの袖口をボタンの位置まで少し折り曲げるスタイルを当時真似してました。

20「海と大陸」(伊・仏/2011)
ベネチュア国際映画祭審査員特別賞受賞作。地中海の小島に暮らす母子と祖父の三人の暮らしに、アフリカから押し寄せる難民が影を落とし始める。漂流する難民に関与してはならぬという法に対し、海の掟として助けるべきだという漁師達。救助したことにより漁船を差し押さえられた祖父を目にしていた少年は自分のボートに群がる難民を見捨て、その結果、浜に打ち上げられた難民達の死体にショックを受け・・・。
その予測できそうな展開でも受賞作と事前に知ると「う〜む」なんだけど、難民問題が身近でない現実下ではまた違った「う〜む」で、3.0。

21「危険なプロット」(仏/2012)
中年男性の国語教師はある生徒が書く同級生の家庭生活の内実を描写した作文に非凡な才能を感じ個人指導を始める。が、次第にその続きを読みたい欲求にかられ破滅への道に足を踏み入れてしまう・・・。
う〜ん、こういう展開は新鮮。3.5。

22「バトル・オブ・ライジング コールハースの戦い」(仏・独/2013)
16世紀フランス。馬商人コールハースは横暴な男爵に妻を惨殺され反乱を起こす・・・。
メル・ギブソンの「ブレイブ・ハート」的傑作を期待したのは間違いで、完全なる二番煎じ。主演のアルノー・ドゥ・パリエールももともと好きでなく、「テストN」同様ひげ面の面々ばかりで敵か味方か分からぬ戦いも消化不良。2.0。

※最後にひとこと。
この企画はどうなのだろう?
我輩としては最近の映画を観るたびに記憶の彼方に即追いやられ、「ああ、時間の無駄?」と思わせるモノをこうして記録すると少しは価値が?なのだけど。映画好きな方、ご意見を。

注:「観る時間ようあるなぁ」と感じた方へ。
字幕版は評価4以下はすべて2倍速で観ています。
ゆえに日本映画は録画がたまる一方・・・。
そして、映画よりやはり読書のほうが価値あり、と今回思い至りました。

「新・今夜の映画!」完

<戻る>