304「ギョウザ」

5.23.sat./2015

★あれはいつ頃のことだったろう?

大阪千日前国際劇場脇の「EE」で、実弟に「こうしてタレ作って食べるねんで」と教えられ初めて餃子を食べたのは?そのEEが一号店だったゆえそうとう昔の話であるし、ギョウザがなぜ餃子の字なのか不思議に思っていた頃である。

弟と我輩は食の好みが分かれており(その他もまったく)、子供の頃はお好み焼き派の弟に対し我輩はホットケーキ派で、母親にどちらかを作ってもらう際よくケンカしたものである(いまはどちらも好きではない)
ゆえにかその時初めて餃子を口にしても「旨い!」の記憶なく、それは当時の中華屋独特のギトギトした油染みた店内が悪印象を与えていたのかもしれぬが・・・。

以来、餃子などほとんど口にしていない。
酒飲み仲間が注文したそれを酒のあてに少々お相伴するくらいで、ましてや「餃子定食」なんて、白飯とそれを口にするなどいまだ未経験かつ問題外であるし(その類いの「お好み焼定食」も)、ニンニクの口臭も気持ち良いものではもちろんないわけで。

そんな我輩が数週間前、なにげなくテレビで「宇都宮餃子」というものを観た(この街が餃子で有名であることぐらいは知ってはいた)
レポーターがその街の餃子有名店を紹介する番組であったが、どの店のもどの店のも皮の中身からたっぷりな肉汁が滴り落ちているではないか。「えっ?餃子ってこんなにジューシーなん?」

それからである。
周辺の中華料理屋を巡るようになったのは。そのジューシーさ求めて・・・。
が、いまだ口中にあふれるほど汁気たっぷりのそれに巡り合ってはいない。
いや、汁気など全くないようなものばかりではないか・・・?
スーパーで各種冷凍餃子を買ってもみたけれど、生餃子の持ち帰りも試したみたけれど、どれも「変わらんよなぁ?」
お客さんがならばと自家製餃子をわざわざ持ってきてくれたけれど(我輩の説明不足ゆえか)、それは具がたっぷり過ぎる、三個ほども食すと「もう満腹」というような、いわば小型の豚まんのようなモノであって・・・いやいや、それはそれでまずくはないのだけれど、あの「EE」での初体験を打破していないのであった・・・。

でも営業終了後、夜食作るにも疲れ果ててる昨今(手軽なカップ麺ギライの我輩にとって)ほっとけばフライパンで数分でできる餃子というものは今やとってもとっても手軽な夜食と成り果ててしまって(皿に移さずフライパンのまま食せるし)、1パック12個、もうそれだけで満腹となる深夜、ああ、もう何日も白いご飯を口にしていない・・・。

※傑作韓国映画(原作は日本だけど)「オールド・ボーイ」の、私設監獄に何年も幽閉される主人公にあてがわれる食事は確か「餃子」のみだった?うむ、これだけで生きられるんや?(僕、にんにくクサイかしらん?)

★「今夜の本!」

「月と蟹」(道尾秀介/文春文庫)
小学生の慎一と春也は共に転校生。ある事情でクラスに馴染めない慎一は春也と放課後を海辺で過ごす日々。そんな時、ヤドカリを神様に見立てた願い事遊びを思いつく。そして・・・。
二人の日常描写から「これは一体どんな類いの話?」と、読み終えるまで裏表紙のあらすじ読まぬようにしている我輩(購入時は読むのだけど、それを忘れた頃に読み始めるのだ。まっさらな気持ちで)、全く展開読めずしてついそれに目を通すと「子供時代の終わりが鮮やかに胸に蘇る」と。「ふ〜ん、そんなんかよ」と期待せず読み進むと、「恐ろしく」なってきた。読み進みたい、でももうページ繰るのを止めたいと、緊張感和らげるためタバコを立て続けにふかしながらの読了。「子供時代の終わりが・・・」なぁんて生易しいものではなかった。今年読んだ中では最も夢中になれて、評価5/5。直木賞受賞作です。

「シャドゥ」(道尾秀介/創元推理文庫)
共に医科大学に勤務し親友同士の父親をもつ小学生の凰介と亜紀。凰介の母が病死し、続いて亜紀の母が大学の研究棟から飛び降り自殺。前後して二人の父親の不可解な言動、行動が顕著と成り始め、亜紀までもが自殺を図ろうとする。幸せそうに見えた両家族にいったい何が隠されているのか?そして凰介は、読者の我輩は、驚愕の真実を知ることになる・・・。
あまり印象に残らなかった著者の「向日葵の咲かない夏」以来遠ざかっていた道尾さんの作品、前述「月と蟹」で衝撃受け、続けての傑作なんてありえんだろと思いきや、予測がことごとく裏切られる意外性の連続の果ての「真実」(まだあるの!?ってな感じ)には脱帽。小学生が主人公という辻村深月さんの作品を連想したけれど、ラストで泣かせて印象に残る辻村作品に比べ、泣きはしないけれども道尾さんは緻密な展開で勝負?で、珍しくも立て続けの、5/5。本格ミステリー大賞受賞作。
※題はいまいちですが、本作での「シャドゥ」は精神医学用語のひとつとか。

※今夜のオススメは、「両作とも」!

★「今夜の映画!」

!!(傑作!)◎(オススメ!)○(損なし?)△(普通)×(駄作)

「悪いやつら」(2012/韓国)
ぐうたらな税関職員が密輸品の大量の麻薬を発見。それを裏社会に横流してその世界で生きていこうとする・・・。
ヤクザの素質など全くない元公務員が裏社会で生きてゆく危うさがハラハラ。でも、同姓(同祖先)、同出身地のつながりの強い韓国社会(中国も)ゆえの賄賂と汚職充満の腐敗描写の方が印象的。チェ・ミンスク(「オールド・ボーイ」の名優)主演で、「オールド」での馬鹿な酔っぱらいイメージが本作では最後まで。ラストの彼に向けたひと言がゾクッ。○

「ローン・サバイバー」(2013/米)
4人の特殊部隊の米兵がタリバン幹部の暗殺作戦のため山岳地帯に偵察潜入。アクシデントのためタリバン部隊に包囲された上、救援要請の連絡手段を失い一人、また一人と倒れてゆく・・・。
秀作「エネミー・ライン」(2001/米)を思い起こしつつ観ました。「エネミー」はボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア人勢力に撃墜された戦闘機から脱出した、満足な武器もないパイロットの敵地での悲惨な逃走劇。対しての本作は、完全装備の米兵対タリバンの人海戦術といった構図。過酷な訓練を経ての友情と信頼に結ばれた米兵士が満身創痍となりながら次々と倒れていく戦闘描写が迫真的。なれどこの手の映画、戦争は装備で勝つもんじゃないんだなぁと毎回思わされます。実話。◎

「オールド・ボーイ」(2013/米)
理由もわからず20年間私設監獄に監禁された男の反撃と末路・・・!
今回よく出てくる題名の傑作韓国映画のリメイク。ストーリー分かっていながらも面白い(やはり20年間餃子だけの食事でした)けれど、主人公の陽から陰への変貌の見せ場はやはり主演男優賞をとった韓国版。○

★「今夜のキド・アイラク」

新連載です。
たぶん今後、喜怒哀楽の「ドとアイ」が多いような気が・・・。

小麦の高騰のせいだったかこの秋、竹鶴などふくむ洋酒を最高46%も値上げするとか(異常な数値。企業努力してのかしらん?)
※気軽に仕入れられなくなります。メニューはどうしたら?値上げか一杯分の容量を変更するか、悶々。

続いて、タバコの三級品も来年4月以降のタバコ税軽減・縮小措置で最大130円ほどの値上げとか。前回の値上げでマイルドセブンから三級品のひとつ、2
50円のエコーに買い替え、ようやくそのマズさに慣れた矢先にです。
※電子タバコに再度挑戦しようかと思いきや、その電子タバコに発ガン性物質もニコチンも多々ありと発覚の新聞記事。いよいよ禁煙外来行きかなぁと、悶々。

★「今夜の合言葉!」

「オールド・ボーイ」
で、サービスドリンクorつきだしプレゼント。

「ギョウザ」完

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