312「モーニング」

8.7.fri./2015

★我ながら「よく働く」、と思った(オッ、珍しい!)

6月は今までになくなぜか極端にヒマで、知り合いの居酒屋や理容店長も「不思議なほどヒマ」「前年20%ダウン」とかそれぞれおっしゃるが、会社組織に籍ある彼らに比べ自営の我輩は・・・死活問題。
※わが口癖の(彼女いなくっての)「さみしい・・・」と口にした途端「あ、さみしないわ!貧に窮したらそんな気持ちも吹っ飛ぶんやなぁ」とお客さんと。

で、ドリンクのプライス見直しかつフードページも見やすく編集し直し少しでも回復につなげようと看板も書き換え、深夜のチラシ・ポスティングと共に7月28日の墨丸23年周年に向けメニュー改訂作業をスタート。
※周年イベント、当初は我孫子店開店月の12月に設定していたが、現在は1号店での墨丸創業月の7月に統一変更。

さてメニューのドリンク見直しは早々に終わったものの、7月後半から着手のフードメニュー改訂は予想外に日数かかり・・・当初はもちろん周年記念日までの完成予定。それが7月末にずれ込み、さらに8月1日完了、3日完了としてきた予定がさらにずれ込み、原稿4日夕刻完成。5日レシピとメニュー差し替え完了。
※名言「予定は未定」

その作業期間、急激に暑くなった今日このごろゆえ寝苦しく、3〜4時間で目覚めてしまうのを幸いに(.310「アイマスク」でのマスク、こう暑くては暑苦しくって使わずで)早朝から前回メニュー改定後に入手した料理本4冊と収集していた料理切り抜き記事等資料加えての改訂作業を、仮眠と昼食、仕入れ時間のぞきオープン直前まで・・・ということはこの密室に連日24時間近く閉じこもってたわけで・・・。

異端なるわが私生活知るお客さんの「頭おかしならへんの?」という意見がまさに現実にならぬのがおかしいと自分でも思うほどの、寝てる以外は全時間「仕事」という日々・・・。
おまけに若干持ち直したものの7月も続いてヒマで、8月は今のところまた6月並みのヒマさ・・・ふと「このヒマさはもしかして我輩もう狂っていて、ホントは店など営業してなくってのこのヒマという世界は妄想の世界なのかも」なんてことさえ思い浮かぶほど。
※以前の記録.301「ダラダラ」、.305「夜がまた来る」でのいわば「やる気の無さ」が克服されたわけではない。いまだ通路を塞ぐ荷物の山の整理に対してはなぜか意欲が芽生えぬのだった。

ま、そんな狂いかけてる灼熱の日々ゆえか、食材ロス解消のためにとピックアップしたフードメニューが今回もまた多すぎるほどに、いや膨大すぎるほどに。・・・この狂気の産物、今回はちょっと見もの?
※賢者いわく「ヒマのなせる技」

★そんな早朝、思い出せぬほど久しぶりにある体験

ある朝、急にレタス食べたくなり(特に好き嫌いのない体質人間はこのように突如「食べたいもの」を身体が要求するらしく、その本能に従って食生活すれば健康維持できる、らしい)で、マクドへ。
※コピーライター糸井重里いわく「子供の頃にはレタスなんてなかった。マクドが日本に上陸してからですよ、レタスなんてのを見かけるようになったのは」
そのとおりだ。当時、生野菜なんて添え物の千切りキャベツぐらいだった。給食にも生野菜はなかったし。
※墨丸のお客さんいわく「レタスなんてマスター、墨丸の冷蔵庫にあるでしょ!」(朝から「仕事」したくなくって・・・)

で、マクドへ。
う〜む、注文品待っているのか、注文しようと待っているのか、レジ前混雑。
しばし並んで待つ。いや、並んでいるのではなく雑然とレジ前に客がいるのだから、その後ろあたりにて、待つ。
と、我輩の後から入ってきた男が雑然客のなか進み、ササッとレジで注文?ン!

普通なら店員が「次お待ちの方どうぞ」やろうけど、お客ガラ空きの午前3時、4時頃にしか、それも今年も2度ほどしかマクドに来たことがない我輩にとってはこの状況、「俺はどうすればいいのだ?」
そしてふとレジ上のメニューボードみると、「ムムッ、この時間帯も目的のベーコンレタスバーガーは販売していないのか?」(チキンなんてのはなぜか論外)
ならばこの雑然とした、接客サービスらしきサービスもない中でバカみたいにたたずんでるのが急にこれまたバカらしくなり、「うむ、杉本町の喫茶店でハンバーガー出す店があったな」と、マクドを出る。

早朝なのに、もう暑い。
12月末の厳寒高野山の、さらに山奥生まれかつネコ科寅年生まれの我輩、暑さには極端に弱いのだ・・・杉本町に向け自転車走らせ始めて、あきらめた。
で、灼熱の陽光の下、路頭に迷ったその場所に、喫茶店「虹」が。
ムム、メニューボードにサラダ付きモーニングがあるではないか?
そう、ご飯好きパン嫌いの日本男児の我輩、思い出せぬほどの長期間、モーニングサービスなんて経験したことがなかったのにこの朝、その喫茶店に入ったのである・・・ということは、「夜明けのコーヒー、二人で飲も〜とぉ」なぁんて流行歌的経験もなかったということ・・・だ?

う〜む、サラダはサラダらしくないモノだったけれど、350円でゆったりと我輩にとっては新鮮な論調の反日新聞(朝日)も読め、これは安い空間ではないか!
ということで翌朝、別の店を開拓しようと(あいかわらずなんとなく単純。そういえば、295「ギョウザ」もその頃だけで終わってる)、我孫子町内を自転車で走り回って・・・500円モーニングなんて論外。昼食を500円以内に切り詰めてるんだもの。

350円の喫茶「アトミ」、広々して落ち着ける雰囲気。なれどここは永年の墨丸お客さんの店。ゆえに朝から妙に気を使ってしまのも・・・。
300円の「高野」、う〜む、こじんまりしていて内装は我輩好みなれど、300円ゆえコーヒーと玉子のみのセット。
この「高野」に入る前に訪れた、以前カレー食したことのあるまだ新しい喫茶店は9時半オープンだった。で、翌日9時半過ぎにその店に行くと「貸し店舗」に!
小奇麗な(ホントはもう覚えてないけど)女性一人で切り盛りしてた店だったのに・・・もう少し早く「モーニング」に目覚めれば良かった。
結論:日本人には「和食」モーニングだ / 女性嫌いの我輩でも男性オーナーの喫茶店より女性オーナーの店が落ち着く / 夫婦での店も嫌。うらやましくって・・・。

★「今夜の本!」

このコーナー永らくご無沙汰で詳細忘却の彼方ゆえ、今回は点数だけ(ついでに映画欄も)

「アグルーカの行方」(角幡唯介/集英社文庫/講談社ノンフィクション賞受賞)」3/5
「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」(竹田恒泰/PHP新書)3/5
「降霊会の夜」(浅田次郎/朝日文庫)4/5
「会いたかった人」(小池真理子/祥伝社文庫)3/5
「まどろむ夜のUFO」(角田光代/講談社文庫/野間文芸新人賞受賞)1/5

今夜のオススメは「降霊会の夜」!
老境に入った男の別荘。嵐の夜、一人の女を雨宿りさせる。その女は「お礼に」と、彼を死者が語るという降霊会に招待する。男の子供時代の貧乏な同級生キヨ、青年時代の恋愛相手百合子・・・彼らにまつわる男の知らぬ過去が次々に明かされてゆく・・・キヨの章は切なく、百合子の章は佐藤正午「Y」を思い起こさせる「恋」の顛末ながら、青年時代の主人公が鼻持ちならぬ奴ゆえ少々評価低下。

★「今夜の映画!」

!!(傑作!)◎(オススメ!)○(損なし?)△(普通)×(駄作)

「ぼくを探しに」(2013/仏)△
「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」(2013/米)△
「ディス/コネクト」(2013/米)△
「陸軍中野学校」(1966/日)○
「イントゥ・ザ・ストーム」(2014/米)△
「汚れた心」(2011/ブラジル)◎
「雁の寺」(1962/日)○
「インサイダー」(1999/米)○

今夜のオススメは「汚れた心」!
増村保造監督の「陸軍」、川島雄三「雁」それぞれ名匠の作品ゆえ見応え充分ながら、ブラジルと日本が国交断絶続けるなか、終戦後も情報を遮断された日系ブラジル移民社会で敗戦を信じぬ日本人が、敗戦を知った同胞を汚れた心を持つ国賊として殺戮し続けた事実を、監督、脚本、ノンフィクション原作者がいずれもブラジル人、出演者は日本人(伊原剛志、常盤貴子、余貴美子、奥田瑛二ら)という異色作。
「移民同士の抗争は多くの死傷者を出し、3万人以上が逮捕され381人が有罪となった。10年後、全員に恩赦が認められた」という歴史を我輩知らなかったこと、またこの映画自体の存在も知らなかったゆえ、より衝撃的。

★「今夜の名言!」

「人間は、嫌なことを片っ端から忘れていかなければ、とうてい生きてはいけない。でもな、そうした人生の果ての幸福なんて、信じてはならないと俺は思う」
「降霊会の夜」より。

「恋に落ちるというが、恋に昇るとはいわない。それは恋という甘い響きの裏側に絶望にも似た現実がつきまとうからだ」
TVドラマ「ブスと野獣」オープニングの言葉。

★「今夜の合言葉!」

「モーニング」で、おつまみを。

「モーニング」完

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