337「 確率の問題」番外篇

11.23.wed./2016

★なぜかのゼロ%

「グレンキャリング号のボート」ウイリアム・ホープ・ホジスン/アトリエサード
「リーシーの物語」スティーブン・キング/(出版社忘れた)
「卒業 Part2」チャールズ・ウエッブ/白夜書房
「ブラックアウト」コニー・ウイリス/早川書房
「身近な人が脳卒中で倒れた後の全生活術」待島克史/時事通信社

10月初旬、我が住む街KN市の図書館会員になった。
図書館なんて10代以来の利用だ。
その日、膨大な書物目の当たりにして本好きの我輩、「どうして今まで利用しなかったんだろ?」
で、借りたのが冒頭の計五冊。

なんだけれど、貸出期間が二週間もあるんだけれど、さらに二週間延長もしたんだけれど、ほぼ読めたのはたったの一冊。
それは、東宝怪奇映画の名作「マタンゴ」原作者でもあるホジスンの「グレンキャリング号のボート」。ほぼ読めたというのも、百数十年も昔の作品ゆえ古臭くささ免れず、後半飛ばし読みゆえ・・・。でもこの時代の大海原という未知の世界を舞台にした海洋綺談ってロマンがあって好み。

大作「リーシーの物語」はキング作品にしては難解すぎ(訳者の白石朗さんはキング作品ではおなじみの方で、たぶん訳に問題あるわけでなく、我が頭脳の問題)十数ページで投げ出した。

60年代の傑作恋愛映画「卒業」公開後に巷で取り沙汰された主人公ベンジャミンとエレインのその後は?それが本作「卒業 Part2」で明らかになるはずなのに、なんとなくあの名作イメージ壊したくなくって手に取れぬままに。

「ブラックアウト」(「灯火管制」の意)はタイムトラベルテーマの秀作らしいけれど800ページもの大作におののいてしまい、「身近な人が脳卒中〜」は身近な人ではない我輩本人が興味ありそうな部分のみ拾い読み。でも役に立たなかったような?
でもこれらの根底には・・・

振り返ると、本を図書館や人に借りると読書欲の根底に「早く読んで返さねば」意識が芽生える。特に期限付き図書館本は。
次に、本を手に取った途端「読まねば、読まねば」意識が読書欲はばむほどに急成長し、読み始めてからはその意識が大木と化して本と我輩の間にたちはだかる。で、ついには読めぬまま返却期限来たる、という「ねば意識はバネにはならずの反作用」的な己の妙な性癖忘れていたのだった・・・。
ああ、この性癖原因で書物に膨大な金銭をいままで支払い続けていたのだと改めて思い至るとともに、確率として所有本以外での読書率はほぼゼロ%という悲惨な実態をもあわせて今回目の当たりにしてしまったわけであ〜る。

で、ながらく休載の「今夜の本」を、コメントなしだけどまとめて公開。
次回から「今夜の映画!」と共に、月末締め翌月早々まとめての月刊連載と決めました。

★「今夜の本!」

1「大放言」百田尚樹/新潮選書/3.5
2「ヘンリーの悪行リスト」ジョン・スコット・シェパード/新潮文庫/3.5
3「暗黒女史」秋吉理香子/双葉文庫/3.0
4「白鯨との闘い」ナサニエル・フィルブリック/集英社文庫/4.0 [全米図書賞ノンフィクション部門受賞]
5「時の地図」(上下)フェリクス・J・パルマ/ハヤカワ文庫/2.0 
6「明治政府のキリシタン弾圧 浦上四番崩れ」片岡弥吉/ちくま文庫/3.5
7「さいごの色街 飛田」井上理津子/新潮文庫/4.0
8「ドキュメント失業!」鎌田慧/ちくま文庫/2.0
9「罪の余白」芹沢央/角川文庫/3.5
10「娼婦たちから見た日本」八木澤高明/角川文庫/3.5
11「死ねばいいのに」京極夏彦/講談社文庫/3.0
12「ブラッド 孤独な反撃」デイヴィッド・マレル/ハヤカワ文庫/3.5
13「ホテルローヤル」桜木紫乃/集英社文庫/4.0 [直木賞受賞]
14「眠れぬイブのために」ジェフリー・ディーヴァー/ハヤカワ文庫/3.5
15「オッド・トーマスの霊感」ディーン・クーンツ/ハヤカワ文庫/3.0
16「あなたならどうしますか?」シャーロット・アームストロング/創元推理文庫/3.5
17「あの女」真梨幸子/幻冬舎文庫/3.0
18「13時間前の未来」リチャード・ドイッチ/新潮文庫/3.5

「確率の問題」完

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