348「HHhH?」

2.7.tue./2017

★本屋って・・・

昨年末、友人たちと堺東で呑む機会があり、待ち合わせの時刻まで南海高野線堺東駅隣接の高島屋内「天牛書店」に。

で、本屋にも「顏」があるんだなぁ、と。
新刊本購入なら昨今は地元KN市駅前ビルのキャップ書店。
墨丸時代は堺・北花田の紀伊國屋書店か難波・千日前のジュンク堂。
初めて訪れたここ堺東・天牛では、「お、こんな本が」「あ?これは?」という何冊もの目新しい作品が目につくというその陳列or品揃えに、「う〜む、ココって我輩向きの本屋?」と、冒頭「顏」の感想と相成ったわけだ。ただし天牛でも堺東店限定のことだけど。

★「HHhH」?

例えばそこで見つけた一冊の翻訳本「HHhH」
「この奇妙な題名、何やろ?」と、他の本屋で見かけたこともないのでその奥付みると、2013年6月が初版。「四年近くも前の?」

我輩購読中の産経新聞にはなぜか早川書房や東京創元社などの翻訳本新刊案内広告載らず、本屋でみかけては「おっ!」という昨今。
先日もキャップ書店で、276「パインズ!」で紹介した「美しい地獄」の町の物語、ブレイク・クラウチ「パインズ」その続編がなんともう二冊も出版されているのを初めて知ったほど。

で、先述の「HHhH」だけど、副題「プラハ、1942年」でピンときた。
あとがきに目を通してみると、「やはり」と我が意を得たりの感。

★「暁の七人」

我輩ガジュ丸ベスト50に入る映画の一本にルイス・ギルバート監督「暁の七人」という1970年頃の戦争映画がある。
当時ヒットした西部劇「荒野の七人」以降「七人」が題名につく、凡作ふくめての作品が続々と上映されたという(これも黒澤明「七人の侍」による)なんか平和な時代を思わせる、でも映画が活気に溢れていた頃の一本。

その内容はというと、第二次大戦下のチェコスロバキアが舞台。その総督府のナチ高官、その残虐さから「金髪の野獣」「死刑執行人」「プラハの虐殺者」と恐れられたラインハルト・ハイドリヒを、英国のチェコ亡命政府から送り込まれた青年兵士たちが暗殺しようとする実話の映画化作品。

本作に先立って上映されたピーター・ボグダノヴィッチ監督の名作「ラスト・ショー」で印象に残ったティモシー・ボトムズ(我輩と同い年)が出演というのと、当時の007映画の監督作との期待もあって観たわけで、こうして監督や俳優名がスッと思い出せるということはやはり当時の映画に対する情熱の現れか、この作品への愛着ゆえか。

ちなみに「ラスト・ショー」は確か、小さな町の映画館がなくなることにまつわる青春映画で、渋い脇役ベン・ジョンソンの存在感がグサリと印象に残った・・・といってもこれはもうストーリー詳細忘れてしまってるけれど。でも名作だったことは確か。

★感動作は・・・

え〜、話がそれたけれどもこの「HHhH」が、その暗殺にまつわるノンフィクション・ノベルらしいのだ。今更という感もありだけど。
というのも「暁の七人」上映当時はビデオの登場なんて夢のまた夢の時代。で、感激した映画があると、その記憶いつまでもと原作本や関連本、ポスターなどの資料を収集したものだ。で、この映画に関してもすでにアラン・バージェスのノンフィクション本を手に入れていたからで。

ちなみにカンボジア内戦を描いた名作映画「キリング・フィールド」では、原作本はもとより内戦関連本を何冊も読み漁ったのが最たる経験か。
反して映画パンフレットのみの収集に終わって残念なのが、当時の字幕翻訳者の清水俊二さんいわく「翻訳しながら初めて泣いた」というロバート・ワイズ監督の「砲艦サンパブロ」
原作が翻訳されず、そのかわり洋画では繰り返し観た回数最多の作品に。近年、DVD二枚組手に入れすぐ人に貸して戻ってこなかったというツライ経験もある。そういえば韓国映画の「猟奇的な彼女」二枚組も戻ってきていない・・・。 
※邦画で繰り返し観た最多作品は、昭和33年ベストセラーの五味川純平原作、小林正樹監督の「人間の条件」五部作!

また話がそれたけれど、その天牛訪れた日は(その日でなくとも)三千円近くもするローラン・ビネ「HHhH」も、そのとき見つけたジョナサン・リテル「慈しみの女神たち」も、永井義男「本当はブラックな江戸時代」も、清水潔「南京事件を調査せよ」も、食い詰め浪人ゆえ買うこともできず(呑み会には率先して参加なのに・・・)、安価な文庫本「幕末明治 日本は外国人にどう見られていたか」一冊だけを買ったのであった・・・。

※以前「読めない図書館の本」について記したけれど、今回は上記の作品群、図書館にて予約中。今度こそ「読む」ために。
反省:図書館で一度に何冊も借りるのもいけなかった。だからとりあえず一冊ずつ借りることにした。近日、順にご紹介。
※収集した映画ポスター類、度重なる転宅ですべて紛失。業者か家族がゴミだと思って捨てたんだ・・・。

「HHhH?」完

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