364「眠り男、つかの間の復活」

6.24.sat./2017

★検査帰りに・・・

6月1日(木)、昨今の体調不良もあり久しく会っていなかった墨丸会員91号M氏と会う。361「なんだコレ?」で記した、半年ごとの脳神経外科でのMRI検査の帰りだ。
住まいのKN市から、入院していた大阪住之江のその病院までのバカにならぬ交通費を有効利用と理由付け、検査帰りには大阪市内で呑んで帰ることにしているわけで。

我が不調、もしかして病気再発かと危惧すれど(そういえば前回検査時もそう危惧したけれど、あれは傷病者共通の冬場の季節病みたいなもんだった)、あいかわらず今回も「脳も血管もキレイです」と主治医のY先生。
やはり素人判断していた「体力の低下」が問題のようだ・・・。

★「眠り男」が・・・

そういえば最近、睡眠2時間ほどで目が覚めてしまう。
それがいままで経験したことのない、完全覚醒。
最近まで平気で10時間も眠れた「眠り男」の我輩ガジュ丸が深夜に目覚め、もう朝まで眠りにつけなくなってしまったのだ。
そこではたと気づいたのが、最近の研究結果という「年をとってからの長時間睡眠は体に良い」につながる、昔からの「眠るのにも体力がいる」の説だ。
やはりそうなんだ〜、と初めて実感しているわけだけれど、そんな時ふと思うことがある。

其の一
我が身長170センチ弱に対し、骨と皮プラス内臓だけの生存ギリギリの体重っていったい何キロになるんだろ、と。
今は依然として10キロ余り減の50キロ前後なのだが。S・キングのホラー小説「痩せゆく男」でも再読してみようか。

其の二
最近読んだ白石一文「ほかならぬ人へ」のヒロイン、ブスだけれどもなぜかとてもいい匂いがするという魅力的な東海さんいわくの、「一日8時間眠る人と5時間眠る人だと同じ75年間生きても5時間の人は8時間の人より14年間も余計に仕事ができる」云々の言葉から、子供の頃母親にいわれた「早起きは三文の得」(その頃から我輩「眠り男」だった)を思い出していた。
三文の得なんていまさらの感なれど、一日一冊ペースで本を読み切るようになった。
が、これにも弊害があるようだ。
この検査の日、住之江の薬局で聞いた話。
「ドライアイは読書も原因のひとつです」。これも361「なんだコレ?」で記述の、診察一分弱、待ち時間一時間で「なんで?」と思ってしまうほどの診察費を払わねばならぬ眼科医院ではそんなことも教えてはくれなかった・・・。

其の三
新聞記事で知ったのだが、「起床時の口腔内にはウンチ10c分に相当する雑菌がある」
このこと、今ごろ知ってよかった。
若き頃に知ったなら、寝起きの美女とのモーニング・キッスなんてとてもじゃないけど想像できぬ非ロマンチックな青春を過ごしていただろう。
このとき、学生時代に同級生が梅毒関係の本を読んで、感染気にするあまり電車の吊革持てなくなったと悩んでいたのを思い出した。
ゆえに昨今の我輩、寝起きにツバを飲み込めなくなり、すぐ洗面所で口をすすぎ、ついでに油の浮いた顔を洗ってしまうのも「完全覚醒」を補完してしまうわけで・・・。
この「油の浮いた」というのも生理学上「なぜ」と思う。
昼間の時間帯より睡眠時のほうが「油が浮いている」ような気がするんだけど・・・そういえばリアリズム重視の映画のヒロインでも寝起きの美女は美女のままというのもオカシなことだ。
美女の脂ぎった寝起きの顔を一度見てみたい、か?

★そんな寝不足下で・・・
 
そんなわけでこの検査の日は困った。
睡眠2時間ほどで朝から住之江まで行き、夕方からはM氏と酒を酌み交わすことになっているのだから。

「15〜20分位かかります」と毎回技師がいう、MRI検査機械の中で身体を横たえてる間に眠り込んでしまわぬだろうか。
じゃあ、ホントは何分要するのか試しに数など数えて時間でも測っていようかと。
我が勘定では約13分で終わった・・・。
でも帰りの南海線住之江駅プラットホームのベンチ、暖かい陽射しのなかで数分眠り込んでしまっていた。

★検査帰りの話に戻って・・・

毎回昼過ぎには検査と診察が終わるのだけど、そこでM氏に問われる。
「それから夕方までナニしてんねん?」
彼は余暇にはパチンコしか眼中にない男だ。

これは我輩の行動、毎回決まっている。
帰りの住之江駅か地下鉄乗り換えの天下茶屋駅でまず宝くじを買う。
最近なぜか宝くじ売り場が閉鎖される傾向にあるようだ。で、幸いにも(?)買う機会が減っていて・・・も、無職の今はたった五百円分購入だけど。
夢を買うだけなんだから金額の多寡は関係ないと思うのだけど、年間何十万分も宝くじを買っているM氏は、「たった!?」と我輩をバカにする。
30年以上も前に50万当選したせいでその夢の再現を大枚はたいて今も追い続けているM氏を我輩はバカにしている。

続いて、天下茶屋駅のまいどおおきに食堂系列のカレー専門店で昼食後、駅ビル内の天牛書店で古本を物色。待ち合わせの住吉区我孫子のブックバリューあびこ店でも古本物色。
これらのことだけでもう夕刻・・・。
世の読書離れも原因なのか、最近どの古書店でも百円本コーナーにスペース大きくとり、かつまた何冊か買うと割引もあり、というのがうれしい。
が、これでドライアイ治療薬代がかさむことになるわけで、これまた352に続いての「なんだコレ?」の世界・・・。

この日の夕刻は、以前に我孫子で見つけた居酒屋でM氏と待ち合わせ。
この居酒屋、中年ママさんお一人でのオープン一年半目のお店とか。墨丸時代に見かけなかったはずだ。
残念なのは店舗は新しいのに、雰囲気ふくめ料理に「ウリ」がないことだ。
「ウリ」がなければ価格を少し下げれば・・・の感。    
と思い始めると哀しきことに、我輩が我孫子で店舗再開するならばとつい考えてしまうことだ。
6坪前後でいい、立ち飲み価格に毛が生えた程度の料金設定の代わりにボトルの数少なくしてコーヒーも飲めて・・・と妄想が、妄想が・・・。

生中、ぬる燗一合、麦焼酎ロック2〜3杯で睡眠不足の我輩酔ってしまったが、M氏に誘われ行きつけの、これは格安居酒屋「なじみ」に移り、更に麦ロックを・・・。

★家路につき・・・

4時間ほど呑み続けてようやくたどり着いたKN市の駅のバス停。
バス発まで20分あまりも待たねばならなかった。

田舎町ゆえ本数少ないのは仕方ないにしてもこの南海バス、南海電車最終との接続もなく、休日など早くも22時台に運行終了となる。
これはバス停に併設されているタクシーのためなんだろうか。地下鉄や泉北高速と接続の中百舌鳥駅では急行電車停まらぬのに、普通しか停まらぬような変哲もないとある駅で急行停まるのはなぜかと思っていたら、「アレは南海の重役住まいの駅だからだ」と耳にするなど、お客無視かと思わせる南海の沿線にあるKN市を我輩が嫌う理由のひとつだ(もう一つの理由は363「今夜の映画!」参照)

ようやくのバス乗車中、風が出てきたのか車体に木の枝があたる音がするなぁと酔った脳裏で思っていたら、大雨の音だった。
で、到着バス停から自宅まで雨のなか歩きはじめてすぐ、ずぶ濡れの身体が急激に冷えてきた。傘なしの豪雨でずぶ濡れという経験も生まれて初めてながら、雨に濡れて体温が下がって云々とよく山中での遭難時の状況聞くけれど、これはホントだった・・・。

で、シャワーを浴びてベッドに倒れ込んだ。
14時間もぶっ通しで眠り続けてしまった。
「眠り男」つかの間の復活でありました・・・。

「眠り男 つかの間の復活」完

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