412「ガジュ丸の呑酒暦 水無月(KN市編)」gajyumaru no donsyugoyomi(第六話 KN市商店街篇

7.3.tue/2018

「呑酒暦」とは、我輩ガジュ丸の「呑む、読む、観る」三大娯楽キリギリス的人生において、初訪問の呑み屋をめぐる、めくるめく(?)物語、かつその月の特異な出来事の記録であ〜る。
さて六月は・・・(再訪率50%以上がOK店)

★夏越の祓

6月が終わってしまった。
1年の半分がはやばやと過ぎてしまったのだ、無為徒食のまま・・・ん?これを「何の仕事もせず、ぶらぶらと遊び暮らす」と解釈するならば我輩、遊んでなどはいない、遊びたくとも遊べずの貧乏ヒマあり人生・・・。

30日の産経新聞によると、昔から半年は一つの区切り。夏越の祓(なごしのはらえ)といい、6月みそかの三十日、草を大きな輪に束ねた茅の輪(ちのわ)をくぐるなどして汚れを払ったとか。借金の集金時期でもあったようで、江戸時代の狂歌はこう嘆いたという、いわく「たくはへもみな月はてて一文もけふはなごしのはらへだにせず」。6月の異名「水無月」と「尽き果てて」を掛けているとか。
このコラムを書かれた記者同様、我も「汚れた心身きれいにして後半、がんばろう・・・」

※疾患に影響ある梅雨時のせいもあり、5〜6月は「不調」だった。
夏前には「書庫珈琲 墨丸亭」実験開設、購入本の「歩ける!スクワット」「筋力アップで健康」それらページも開いて実践、のはずがともに手付かず予定倒れ。ま、無為徒食のまま、病から3年目の酷暑を迎えてしまったわけである・・・。

★病院行

30日、午後3時から地元の歯科医院での月一度の歯のメンテナンス。
22日には半年一度の脳のMRI検査で住之江の総合病院へ。これでもう検査も終了だろうと、かつてお世話になった3階病棟のナースさん、リハビリ担当の方々に最後のご挨拶もできるかと思いきや、親愛なる担当Y先生「じゃ、また半年後に」。我が「恐るべき空白」(315〜参照)いまだ終わらずであった・・・。

その日に聞いてみた。
「先生、退院後に急に目も歯も悪くなりまして、それらも病気が原因でしょうか?」
「それもあるかもしれません。が、お歳のせいも」
ガックリである。急に年を感じさせられてしまった・・・。
歯科医院でも聞いてみた。
「歯周病って完治するんです?」
「しません。歯周病は生まれたての赤ちゃん以外、万人が菌を持っていますし」
進行防ぐため、これは一生涯の通院と知った。これまたガックリ。

★「呑酒暦」初のKN市探訪

先の総合病院帰りには行きつけの酒場で呑んで帰る習慣も「不調」のため気力体力金力ともになく、すごすごと帰宅と相成った。けれども歯科医の日は月末。今月は「呑酒暦」ネタもなく、医院前からバスに乗り、とりあえずKN市駅前に出てみることに・・・。

到着時刻は午後4時すぎ。
ネタ探して駅周辺の酒場探索。
他の町なら横丁入ると「お、こんなところに」と惹きつけられる店構えに出くわすものだけれども、このチンケな町にはそんな新鮮味皆無。立ち飲み看板の店あれど、素人が張り巡らしたような無粋な軒先テント下メニューには、バーかと錯覚するような価格表示。最悪これでは餃子の王将でやけ酒かと思えども、一人黙々のそれもわびしい・・・。

歩き疲れた1時間後、シャッター商店街というより、これはもう店舗撤退住んでもいません商店街にポツンと一軒、これも立ち呑み屋が。
入る。先客三名。常連のようだ。排他的雰囲気。あ〜嫌だ、嫌だ。我輩黙ってグラス生、焼鳥モモと皮を食す。続いて菊正宗ぬる燗をグラスで。お、少々味覚復活したのか、以前なら愛飲のこの銘柄、辛口風味感じとれず微妙な味わいであったのに、元来の味が・・・が、この店にはもう来ないだろうと、ミョウガ注文。売り切れ。

★はたまた偶然

と、ナニがきっかけだったのか、一人残った常連さんと会話。
沿線の北野田から来たという。この店の大将と知り合いらしい。
で、「北野田なら焼き鳥の八起って店ご存知です?」「知らんなぁ」「じゃあ、狭山寄りにある御堂は?」と、ともに老舗であるゆえ聞いてみた。
すると「おお、知っとる知っとる、わし常連や!あそこは○○な店やけどなぁ」(ここも結構○○やけど)と、その70代男性。
「ボク、スミっていいます。失礼ですけどお名前は?」「Tや」「え、Tさん?Tさんやったら御堂でお会いしてますやん!」(印象的な姓。偶然話の372「実録/さっぽろの夜」参照)で、ここからグラス生、ぬる燗、焼き鳥皮とたて続けに追加注文・・・。
この店には、また来てしまうだろうか。ああ、単純極まりない我輩の、6月の「呑酒暦」であった・・・。

再訪率:一応店名伏せて、5%

※探索中、廃屋のような建物から凄まじい音量の音楽が。趣味のバンド練習か。
この日の立ち呑み屋壁面に、「フォーク・イン・醤油蔵」のチラシが。
午後12時から18時まで、懐かしのフォークソングを何組ものバンドが無料演奏と。あの廃屋?が醤油蔵であった。
市内の情報には常に目を光らせているはずなのに(ヒマゆえ。先だっては工学博士の武田邦彦氏無料講演会に)、この企画初めて知った。
60代前半の脱サラ店主いわく「宣伝不足。このチラシもあちこち張ってないし・・・」
ああ、もったいないことしてしまった、とコレまたガックリな水無月であった・・・。

「ガジュ丸の呑酒暦」 つづく

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