417「ホトトギス vs ウグイス」

7.31.tue/2018

★ネンテンさんの・・・

愛称ネンテンこと俳人の坪内稔典さんのコラムを新聞で読み、「へぇ〜」

平安時代の歌人、源俊頼に「聞かずとも聞きつといはん時鳥(ほととぎす)人笑はれにならじと思えば」という歌があり、聞いていなくても、ホトトギスを聞いたと嘘を言っておこう、人に嘲笑されたくないので、という歌であるとのこと。当時、鳴き声をまだ聞いていないことは教養を欠く不名誉なことだったと、そのコラムで我輩初めて知ったわけ。

さらに、正岡子規の子規という雅号はホトトギスの意味と聞いてはいたけれど、子規自身もそう名乗った当座、ホトトギスの鳴き声など知らず、5年後に初めて声を聞いたということも教わった。

現代社会ではそんな聞いた聞かないなんてことに煩わされることもないだろうが(たぶん)、今もその鳴き声をほとんどの人が知らないらしい。
夏の代表的風物という割に意識して聞かないと聞くことができず、坪内さんも50歳過ぎて初めて耳にしたとか。

・・・とはいってもバードウォッチングなど縁もゆかりも興味さえもない我輩、スズメとカラス、ウグイスの鳴き声ぐらいしか知らない。いや、スズメの鳴き声も他の小鳥のと混同しているのかもしれぬ。夜半、ボウホウと聞こえる鳴き声、フクロウなのか牛ガエルなのか区別もつかない我輩だもの・・・平安時代からすれば無教養極まりないわけだ。

★で、害獣ウグイス

一昨年のこの頃、ウグイスのひっきりなしの鳴き声に悩まされる話を記した(326にて)。

今年も春先から明るくなり始める午前4時過ぎスタートのその鳴き声で起こされてしまう。
今年などはウトウトしつつ、あの「ホ〜ホケキョ!」と(今や奇声だ)発する声帯、舌、くちばしはいかなる構造になっているのだろと、次第に、奇怪な、ねじくれたソレを夢うつつで想像し始め、よけい眠れなくなったりしている。'70年代のギャグ漫画「嗚呼!花の応援団」での、南河内大学応援団親衛隊長、青田赤道が異様に長い、奇妙にねじくれた舌突き出し「クエッ、クエッ、クエッ」と叫び暴れまわるその姿、漫画「ホーホケキョとなりの山田くん」のひとコマまで思い出し、その連想疲れでようやく再度の眠りに陥るパターン・・・だからウグイスの鳴き声だけはもう聞きたくないほど熟知している・・・はずだったけれど、坪内さんのコラムでふと疑念が。

坪内さんは夜明けなどにホトトギスが「キョキョッと高く鳴いて移動していく」と書いておられ、あの睡眠妨害獣ウグイスの、侵入者ありの警告という「ケキョケキョキョキョキョ」の鳴き声、その中にもしかして、我輩知らぬだけでホトトギスの声も混じっているのではないかと・・・。
ああ、判別つかぬ鳴き声という、無知ゆえの夜明けの悩みがまた一つ増えてしまったのだった・・・。

★SPからも・・・

ちなみに最寄りの私鉄駅ホームでは、四六時中、鳥の甲高い鳴き声をスピーカーから垂れ流している。それもワンパターンの。コレは合成音かもと想像すると癒やされるどころか妙にイライラしてしまうのは我輩だけなんだろうか。

7月の18日にヒグラシの鳴き声を今年初めて聞いた。
これには癒やされる。ホームでもヒグラシを・・・と、ふと思ったけれど、これも昼間や年中流すとおかしなものだろう・・・。
※幼少の頃、田舎でヒグラシの鳴き声を初めて聞き、「アレ、ナニ?」と叔母に問い「谷川のカエルや」と教えられた。以来ソレはず〜っとカエルだと思っていた。そして次第に、鳥のカワセミとセミのヒグラシまでもがゴッチャになってしまって・・・アホやん。

そうそう、21日にはアブラゼミの声を初めて聞いた。
これはうるさくとも彼らは短命ゆえ、かわいそうと思いつつ日々耳にしている。35度以上の猛暑になると体力温存のため鳴かないらしく、猛暑の今年は災難だなと加えて哀れんだりもしている・・・。

※ネンテンさんの別コラムで、江戸時代の松永貞徳「山の神の耳の病か蝉の声」の句が紹介されていた。セミの声が大きくてかしましいのは、山の神が難聴になっているかも、という句で、耳の悪い神に聞いてもらうためにやかましく鳴いている、というような解説が・・・続いて「このところ、クマゼミがしきりに鳴いて」との文が続いていた。
・・・我輩、前述「アブラゼミ」と記したけれど、あれは「クマゼミ」なのだろうかと、自然界のことにまるで無知な自分に再度気づいてしまった・・・。

ウグイスはいつ鳴き止んでくれるのだろ・・・。
いや、老い先短い我が人生、来年も耳にできるのだろうか・・・。
もう8月というのに、朝晩の水の冷たさはいまだ続いている、わが辺境の町・・・。

「菜の花の匂う垣根にホトトギスはやも来鳴きて・・・」
(明治の唱歌、らしい)

「ホトトギス vs ウグイス」完

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