431「今夜の映画!」8/2018のベストは?

9.21.fri/2018

★「今夜の映画!」

ガジュ丸評価基準。
5「傑作」4「秀作」3.5「佳作」3「普通」2「凡作」1「駄作」。NF=ノンフィクションetc ※=再観作品。

01.「臨場」2012/日本/3.0
02.「網走番外地 望郷篇」1965/日本/2.0
03.「予兆 散歩する侵略者」2017/日本/監督:黒沢清/出演:夏帆、染谷将太/4.0 ※
04.「散歩する侵略者」2017/日本/3.0
05.「スターシップ9」2017/スペインetc/監:アテム・クライチェ/3.5
06.「メッセンジャー」2017/アメリカetc/ロブ・ヨーク/3.5
07.「ブラッド・スローン」2017/アメリカ/3.0
08.「網走番外地」1965/日本/2.0 ※
09.「キアヌ」2016/アメリカ/3.0
10.「猿の惑星 聖戦記」2017/アメリカ/3.0
11.「メン・イン・キャット」2016/フランスetc/3.0
12.「炎の戦線 エル・アラメイン」2002/イタリア/3.0
13.「M:I:V」2006/アメリカ/J・J・エイブラムス/3.5
14.「新感染 ファイナル・エクスプレス」2016/韓国/3.0
15.「ハイドリヒを撃て!」2016/チェコetc/ショーン・エリス/4.0
16.「ソウル・ステーション/バンデミック」2016/韓国/3.0
17.「スリープレス」2017/イギリス/2.0
18.「ジェイソン・ボーン」2016/アメリカ/監:ポール・グリーングラス/出:マット・デイモン/3.5
19.「エスケープ・フロム・イラク」2016/トルコ/アルベール・チャーラル/3.5
20.「フォロイング」2017/タイetc/2.0
21.「アナベル 死靈人形の誕生」2017/アメリカ/2.0
22.「ネイルズ 悪霊病棟」2017/アイルランド/2.0
23.「ディープ・インフェルノ」2014/アメリカ/2.0
24.「BILLABONG ビラボン」2016/オーストラリア/2.0
25.「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」2009/香港etc/監:ジョニー・トー/4.0 ※
26.「キリング・グラウンド」2016/オーストラリア/監:デイミアン・パワー/3.5
27.「こどもつかい」2017/日本/2.0
28.「ノー・エスケイプ」2016/アメリカ/3.0
29.「ソルジャーズ ヒーロー・ネバー・ダイ」2017/ウクライナ/3.0
30.「プラネタリウム」2016/フランスetc/1.0

★「断念!映画」
「面白くなさそう」と中断してしまった、「断念=残念」映画は?

「PARKS パークス」2017/日本
「デメキン」2017/日本
「奇跡の教室」2014/フランス
「この国の空」2015/日本
「ヴィタール」2004/日本
「六月の蛇」2003/日本
「ロンドン・ペイバック」2014/イギリスetc
「キング・ソロモンの秘宝2」1986/アメリカ
「アンツ・パニック 巨大アリ襲来」2017/スペインetc
「大好きだから」2017/韓国

418で戦後作家の戦争小説って「なんだかなぁ」ってこと記したけれど、戦時下舞台の邦画「この国の空」観始めて、テレビで日夜見かける二階堂ふみ、長谷川博己がキレイなカラー画面のいかにもセットを背景に演じる姿みているとシラケてしまって。
テレビドラマ「この世界の片隅に」もそうだけれど、白黒画面で戦中世代の映画俳優が(映画俳優なんてもう死語だけど)戦後すぐの家屋等背景で演ずる作品観ていた世代からすると、いくら感涙作と薦められてももう観る気起こらず、断念。

★「期待作!」

黒沢清監督「散歩する侵略者」(長澤まさみ、松田龍平主演)だ。
以前、WOWOWで観た「予兆 散歩する侵略者」(夏帆 染谷将太主演)が、今回の「散歩する侵略者」のスピンオフ版と今回知って、ならば本流の作品はと期待。

「予兆」は不気味だった。
冒頭、ヒロイン夏帆が帰宅すると、マンションベランダで虚空をぼんやり見つめ佇んでいる夫の染谷将太。向かいの家屋の壁にゆらゆら揺れる何かの反射光。そのシーンだけでただならぬ展開想像でき・・・。
物語は、地球を侵略しようとする人の姿を借りた地球外生命体が、人間という生物を理解するため、人の「概念」をひとつづつおのれに取り込み、奪われた人間は抜け殻に、という恐怖を描いている。
例えば夏帆の同僚が「家にヘンなモノがいる」と怯え訴える。
家族の概念奪われ、同居する父親を異物としか感じ取れなくなっているわけだ。
こうして夏帆の周りの人たちが愛情、喜び、悲しみ、恐怖といった概念をひとつづつ奪われていくという斬新な発想。久方ぶりの黒沢清本領発揮といった作品。題名もいい。
が、長澤まさみ、松田龍平の期待のメイン作「散歩する」は、コメディやロマンス要素加わって、あの特異な不気味さが損なわれてしまった感。これは残念作。

★「寸評!」

懐かしの「網走番外地」(1965年)。
若い頃の高倉健は好きではなかった。三白眼の、いかにもヤクザ役が似合うだけの人で。ゆえに「網走番外地」シリーズは公開当時に一作観ただけ。
今回WOWOWで全作放映。その三作目が名作というので一作目(再観)と共に観てみた。けれど子供の頃同様、印象に残ったのは懐かしの主題歌だけ・・・。

異色作「スターシップ9」(2017年)。
移住先の惑星を目指す宇宙船。その途上、搭乗員の両親が死亡。船内で生まれ育ったヒロイン・エレナただ一人に。孤独の中で成人したとき、機体にトラブル発生。修理を要請し、宇宙を巡回する修理係がやってくる。生まれて初めて出会った両親以外の人間。エレナはその青年に惹かれる。が、なぜかよそよそしい青年・・・。
ネタばらしするとその宇宙船、長期間の船内生活が人にどう影響与えるかを研究するための、地中に埋められたいくつもの実験施設のひとつだったというもの。
本来なら両親死去の時点で実験中止となるはずが非情にも続行。はたしてエレナの運命は、というスペイン、コロンビア合作映画。発想がいい。

ジョニー・アリディの香港、フランス合作映画「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」(2009年)。
懐かしのフランス人歌手J・アリディの個性的な風貌で(西洋人にしては目が細い)以前観た映画と気づいた。
香港で一家族が惨殺される。瀕死の重傷負って生き残った娘のもとにフランスからレストランオーナーの父(アリディ)が駆けつける。犯人は香港人の三人組。父親は偶然知った別の三人組の殺し屋に復讐を依頼。壮絶な死闘が始まる・・・。
同じアジア人なのに韓国と香港ではこうした作品の描き方が異なる。
韓国映画は「暴力」がまず念頭に浮かぶ。が、香港作ではかつてチョウ・ユンファの傑作「男たちの挽歌」公開当時、「日本の義理人情を描いた東映任侠映画のようだ」と評されたその世界。再観作でなければ前述「予兆 散歩する侵略者」とともに、今月の「ガジュマル賞!」候補だった。

★「今夜の名言!」

「恋に落ちるというが、恋に昇るとはいわない。それは恋という甘い響きの裏側に、絶望にも似た現実がつきまとうからだ」

(TVドラマ「ブスと野獣」オープニングの言葉)

★「ガジュ丸賞!」

ラインハルト・ハイドリヒ。戦時中、残忍な方法で市民を殺害し続けたため「プラハの虐殺者」と呼ばれる。その暗殺部隊7名のパラシュート隊員は暗殺後6時間教会に立てこもった。ハイドリヒ暗殺の報復として親衛隊に殺害された市民は推定で5千人を超える。「ユダヤ人問題の最終解決」の立案者としてのハイドリヒは欧州でユダヤ人の根絶を推進。戦時中に暗殺された中で最高位のナチス党員であった。市民に対するナチスの壮絶な報復を受け、英首相チャーチルはミュンヘン協定の無効を宣言。自由のために闘ったチェコを重要な同盟国と認めた・・・。
(チェコ、イギリス、フランス合作映画「ハイドリヒを撃て!」の解説)

今月の「ガジュマル賞!」はこの「ハイドリヒを撃て!」(2016年)だ。
以前にも記した1979年のルイス・ギルバート監督作「暁の七人」と同テーマ。
実話の暗殺劇ゆえ物語の展開は同じながら、両作ともチェコの現場を舞台にしていること、かつハイドリヒが本人そっくりゆえ迫真性充分。
こういう作品観ながら思うのは、中国、イスラエル、ミャンマーなどの他民族迫害。人類って歴史から何も学べない生物だなぁと・・・。ただ、『「ナチの野獣」暗殺作戦』の副題ふくめ、センスなき邦題。

「今夜の映画!」8/2018 完

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