437「お・し・ご・と」初めての篇

11.3.sat/2018

★前兆?

10月26日金曜のこと。
公共料金口座入金と、ある両替のためクルマで隣町の狭山市某銀行へ。

その地方銀行は両替機未設置ゆえ窓口で手続き。
で、たかがの両替で待たされたあげく、この店もかつて本文123で記した銀行系列店だったと後ほど思い知らされることとなる・・・で、両替の小銭袋抱えて銀行駐車場へ。
駐車料金精算機の駐車番号押し、次は精算ボタン・・・ん?無料のはずが、料金百円?「な、なんで?」と、精算機説明ボードみてみると「三十分以上の駐車には料金発生します。ご注意下さい」
なんで客がご注意せなあかんねん!両替に時間かけたん、わしちゃうど!
この銀行では何年か前にも同様以上の苦汁飲まされた前述123の事件のことこの時思い出し、はたまた宝くじ当たってもココへは預金したれへんと無駄な貧民のレジスタンス・・・。

★で、その両替金

銀行近くのリサイクルショップ「2ndストリート」へ。

ここで先日、足袋仕様の靴下をみつけた。
一足五十円〜八十円。その時みつけたありったけの三足購入。
で今回、その棚あさってみると新たに五足発見。
日本人だなぁ、こんな靴下我輩好み。なんとなくリラックス。
もちろん靴下ゆえ新品。なのに使用済みシューズは堂々と売られている。他人が履いた靴など買いたいものなのか?もちろんTシャツも。下着と一緒やろ?

食器コーナーで、日本に三個しか存在しないといわれる天目茶碗に似た文様の湯呑みを見つけた。
色違い五個のうちひとつだけがその文様。新品七百円。「2ndストリート」では高めの価格。
我輩、日本酒はコップ酒ゆえ、アサヒビールの会社ロゴ印刷された安っぽい容量一合弱グラスで呑んでいる。かつて取引先酒販店から無料提供のそんなグラスでぬる燗呑むのがいまは好き。呑んだ量も分かって。かつ、いかにも「酒」呑んでる感じもして。ま、安酒呑む雰囲気やけど・・・かつて集めた酒盃、だから戸棚の中で眠り続けている・・・。

それまでは、好みの文様の和風陶器カップ愛用。
ちょうどそれらは一合入る容量の・・・けれど我が妻リ・フジンこと山椒太夫、墨丸閉店後、我輩店住まいから自宅住まいとなってのこの三年間でその愛用の品々、次々と欠けさせたり割ったりし、手元にはもうなくなっていたのだ・・・毎夜愛用し続けたそれら捨てるのも名残り惜しく、接着剤で継ぎ接ぎして観葉植物の鉢にしている。

そんな時のこの発見。
これからは自分で洗ってリ・フジンには触れさせないようにしようと、その金額高めの天目茶碗様のをレジに。
レジの女の子、レジスターのキイ打ち込んでると、そばにきた先輩らしき女の子「ちょっと棚みてきて」。いわれたレジの子、あわてて棚へ・・・陳列の残り四個持ってき「スミマセン、五個セットでした」。五個で七百円だった。
先輩格の娘、笑顔で「ひとつ七百円と思われました?」。天使の笑顔にみえた。
某銀行の非道非情な対応、駐車料金百円のことなどもう意識の遥か彼方へ。でも、あの先輩格の娘いなかったら・・・。

で、翌日の夜。
明日の最終準備をと、バックに品々詰め込み始めて・・・「ああ?両替金は?」
部屋のなか、どこ探してみても、「アレ?ない!」
しばし思案。
「あ、駐車料金百円払うのにあわてて小銭入れポケットから出して両替金袋・・・精算機の上に置いた?」
パニクった。
たった百円のことで両替金一万五千円パァ?憎っくき金貸し屋、某銀行ッ。
もう深夜ゆえ銀行に置き忘れ問い合わせもできずして、明日の決行はドタキャン?そんなんできるんやろかと思いはじめて、思い出した。
「2ndストリート」入店前、助手席に置いたソレ、車上荒らしに遭ってはとダッシュボードに入れたんだった。天は我を見捨てず、ホッ。アホやん?(アホです)。

★初めての・・・

昨年のこの頃、衆議院議員選挙投票会場の仕事に従事。台風の日だった。
一昨年のこの頃、地元の私鉄三日市町駅起点で隣町の駅までの曲がりくねった旧高野街道を歩き通した。
そしての今年10月28日日曜、その第12回「高野街道まつり」が、昨年の台風での中止経て二年ぶりの開催。
更に念願の、人生はじめてのフリーマーケット参加の日なのだった。
両替はその釣り銭のための小銭一万五千円。

※先のまつりの際、地元の観光写真カレンダー2017「ちかくて、ふかい 奥河内」購入。5月になって、夕焼けに染まる下赤坂城址写真のソレ、なぁんか違和感。目を凝らしてみてみるとなんと、22日月曜日そして翌日火曜日も「22日」!22日が二日間も。シュール。人生はじめてのミスプリ・カレンダー!
わかってて販売したんだろうか?わからなかったとしたら我輩よりアホがいるわけだ・・・。文句いう人いるだろうけど(いるに決まってる、うるさい人たち)、我輩は、記念にトイレに飾っている。

この日のためにこの十日間、自宅あちこちから不用品探し出し、メンテし、価格付けし、申し込みすでに満杯でようやく潜り込めたフリーマーケット場所じゃない手作り市の一角。その1×3メートルスペースを我が家のガレージで再現。で、商品の配置も事前に決定。

28日午前6時起床で現地へ。そして7時からの、軽四ワゴン車後部満杯の荷降ろし終えてのセッティング。10時からのまつり開始を待つ。
メインは古本と雑貨。本はダンボール十五箱分二冊五十円、一箱分の雑貨二個五十円。他に古着やバック、花瓶など。

★天は我を見放した・・・

いつもは見捨てられたシャッター商店街で、午前10時から午後4時までの「高野街道まつり」の一環でのフリーマーケット。この日はさすがの人通り。向かいはリンゴ飴屋とたいやき屋。横は似顔絵描き屋さん。

最近の「○○離れ」調査で、1位「車離れ」2位「新聞離れ」3位「読書離れ」(我輩はどれにもいまだピッタリ密着中)。別調査では、書籍の「不読率」は52%で「読書率」45%を上回ったという。
実感。通行人のほとんどが路上に並べられた書籍に見向きもしない。「安い!」と立ち止まってくれた八割が中高年。残り二割が青年。我輩ならダンボール買いするだろうに・・・。

一番高く売れたのはトプコンの双眼鏡。リサイクルショップでは同等品千九百円ほどで売られているソレを売り値千円で。それ手にした方が我輩と同年代男性ゆえ、百円引きで。

百円の花瓶に「うち、正価でモノ買ったことないねん」と自慢げにいう可愛げのないオバハンには「ここ百貨店ちゃいますで、フリーマーケットでっせ」と、自分でも論理的でないと思える反論。でもオバハン、買う。

子供には「コミック本タダでええから全部持っていき」といってもその賢そうな低学年児童、丁寧かつ合掌までしつつ「いえ、結構です。重たいですし」と、子供らしくない可愛げのない返答。アホすぎてもナンだけどこういう育ちもなんだかなぁ・・・。

長年、我が家の冷蔵庫の上に鎮座していたハーブやらをストックする二十個もの小さな円筒形の入れ物付いたスタンド。入れるハーブ名印刷された横文字など聞いたことのないモノばかりの、もちろん未使用品。売り値千円。
これは通行人の目を引いて「コレなんですか?」。でも良識的に使い勝手のないモノと判断するんだろう、どなたも買わず。ソレ買ってたのは良識持たぬ我が妻リ・フジン・・・。いつまでたっても売れぬ眼前のソレみつつ「ひとつひとつに金魚入れるか、土入れてアリの巣つくるか」以上の使い方浮かばずしてのその商品、結局売れ残った。

墨丸営業時代、各種照明器具に使ったコンセントに差し込む大量のタップ。
せっせとガラスクリーナーでキレイにし、そのせいで親指痛めたというのに、雑貨二個五十円の、一個二十五円となるソレなどひとつも売れず、「これこそ買って損なし需要品やのに・・・」

3時すぎると、パイプ椅子に座ってる背中部分にあたる幅30センチほどの路地からの風が冷たい。いや、その時のわびしい心情反映してそう感じたのか。
というのも、大量に売れ残った本の山にもうウンザリで。コレをまたクルマに積まねばならぬのかよ、廃棄場所ぐらい設置してくれてりゃええのに、ショバ代二千円も払ってんだからと。

終了間際、あいかわらず朝から何も食べていず、向かいのリンゴ飴屋さんの屋台みつつ「あのリンゴ飴ってやつ、生まれてこのかた食べたことないよな」と、初めてリンゴとブドウ、イチゴのソレを買う。サービス価格六百円。大将、おまけでリンゴ飴2本追加。後刻、リンゴ5個「余り物」とタダで更にくれた・・・。
で、そとはパリパリ、中身はしっとりのリンゴ飴ら「こんなにウマいもんやったんか!」だった。この日、唯一幸せと感じた瞬間・・・。

★冒頭「前兆」の結末

10日間の準備、タップ磨きで親指痛め、午前6時から午後6時までのその日の労働下、トータル30名ほどのお客さん。売上三千八百五十円也。
△ショバ代二千円。で、利益たった千八百五十円。本はダンボールふた箱分売れただけ。
フリーマーケットで金儲けとは思わなかったけれど、「もったいない世代」の我輩、これら大量の本これから廃棄かと考えると、あまりにも仕事しがいのない一日。もうフリーマーケットには参加しない。たぶん。けれど、経験にはなりました・・・。
※書庫の不用品一掃できたので(たぶん)、年内で書庫とガレージの再整理完了させます!

★「今夜の名言!」

何がしに 頭のなかに 崖ありて 日毎に土のくづるるごとし
(この啄木の短歌のごとき一日であった・・・)

「お・し・ご・と」初めての篇 完

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