439「露出した臓器の話 四」(完結編)

12.8.sat/ 2018

昨年5月の361「なんだコレ?」から始まって、12月の380「露出した臓器の話 参」で連載中断の、万人が経験せねばならぬ、いわゆる白内障に対する、唯一露出した臓器である「眼球」手術話。今回ようやくの完結編。

最初の手術から一年以上も経っての完結・・・といっても、おのれの決断なしには迎え得なかった完結でもある。
というのも、上記「なんだコレ?」での「おかしな医者」の「おかしな」が、ついに「不信」へとつながってのことで・・・遅きに失した感なれど。

★不信に至るまで

昨年の手術完了後の視力変化に伴っての今年1月、通院先のK眼科医院推奨メガネ店でレンズ新調。
けれど同年4月、そのK医院での検眼時にレンズが視力に合わなくなっていると判明。半年以内なら無料交換というのでレンズ入れ替えることに。
その際、我輩センセに申告。
「右目の視力が不安定なんですが」
けれども処方箋渡され、検査結果が正しいのだろうと再度のレンズ新調。

でも、依然として右目視力が不安定・・・月の大半、眼鏡なしでも日常過ごせるほど視界良好の日々ありも。そんなときメガネ使用すると、これはもちろん見づらいわけ。
ふたたびセンセに申告。
するとこれまた「半年以内なら無料交換可ですから10月までにレンズ交換しましょう」
その右目不安定さについては、「う〜ん、なんででしょうかねぇ」

それでの9月末、再度の検眼実施(といっても間断なき通院そのたびにこの検眼=視力検査してるんだけどなぁ)。
その日の検眼担当は初めてお会いする若き女医さん(ココはいったい何人医者がいるんだ?)。
で、その女医さんいわく「1月に作られた最初のレンズのほうがまだ目に合ってましたねぇ」

★不信のとき

これで三度目となるレンズ処方箋手に帰宅して気づいた。
「アレ?この処方箋、プリズム加工の記述ないやん?」
クルマ運転中、疲れると遠方のモノが少し二重に見えたりしていた。けれどレンズにプリズム加工とやらほどこすと是正されるとのこと。で、その加工指示の処方箋でそのことは解決していたのだけど・・・。

翌日、K医院に電話で問い合わせてみた。
「今回の処方箋にプリズム加工のことが書かれていないんですが」
「今日はその担当医が来られていないので分かりかねます」と受付嬢。
「じゃあ、いつだったら分かります?」
「その先生が次いつ来られるか分かりませんので」
なんじゃ?この病院?

で、ふと疑念が・・・半年以内なら無料交換というけれど、二度も無料なんてことありうる?
K医院推奨メガネ店に電話で聞いてみた。
結果「無料は初回限りです」
なんじゃ?あの病院?

K医院に通院する前、懇意の某大学医学部M先生に、近隣で唯一白内障手術てがけるこの医院の評判聞いてはいた。
いわく「あそこは商売上手ですが腕は良いらしいです」
良いはずだ。
経営者K(「センセ」など敬称もういらんか)のほか、手術医ふくめ数人もが入れ代わり立ち代わりのここの医師たち、彼ら彼女らはあちこちの眼科医院、大学病院勤務の肩書ある出向者(バイトか)。たぶんその医師たちの「腕」なんだろう(今までの我輩カルテ見逃していたかもの検眼女医のぞいて?)。

★そしての完結

それっきりこれっきりK医院通院する気力喪失・・・。
けれども手元の点眼薬切れてしまっての11月26日、ひと駅離れた白内障手術も手がける眼科医院で、点眼薬処方箋もらいついでにあらためて診察受けてみた(ここでは「センセ」ではなく、先生「らしい」から「先生」とよぶ)。

先生「で、いまどんな目薬を?え、ソレを手術後もう一年以上も?」
我輩「そういう疑問もあって今回こちらに伺ったわけで。それとこのドライアイ目薬も一日数回、一生続けるようにとも指示されてるのですが」
先生「私なんか毎日パソコン画面見続けてますからそりゃ目が疲れますよ。でもそんなときたまに目薬使うぐらいで。一日数回、そりゃ大変でしょう、ムリしなくていいですよ・・・はい、じゃあ次回はその網膜裂孔の状況みてみましょう。裂孔手術時に言われたように半年に一度の検査でいいですから、半年後の3月25日にいらしてください」
なぁんて医師とのこんな「会話」も新鮮。
いままでは待ち時間1時間、診察数秒の「はい順調です」の言葉ぐらいしか聞けていなかったもの。で、点眼薬処方箋はもうなしに。

※数年前の網膜裂孔に対する恐怖のレーザー手術のお話は228「時計仕掛けのオレンジの悪夢」参照。
点眼薬については手術前の説明時「三ヶ月間点眼」と聞いた覚えあり。で、看護婦に(「さん」づけする気もなくなった・・・)「まだ点眼?」ともちろん尋ねたことも。返答「センセの指示ですから」。また、薬漬け一年以上のK医院ではなぜか毎月一回網膜裂孔の検査もしていた・・・。
さらにある日、目のかゆみ訴えると手術後の点眼薬一日2回を4回にとの処方箋。かゆみはクスリのせいかどうか翌日治まったものの以降毎回4回指示の処方箋のまんま。この頃には「なぜ」と問う気力も失せていて・・・こうして無駄とも思えるあらゆることの診察料、薬代を1年以上もむしり取られていたわけだ。これが先の「商売上手」?・・・まっとうな「商売」とは思えないけど。診察を商売と呼ぶのもナンだけど・・・。

さらに先生「どうしてこんな強めのレンズなんでしょうかね。Sさんなんて裸眼0.8の視力なんですから日常メガネ無しでも充分ですよ。免許更新もメガネなしでオッケーなほどですよ」
レンズが合っていないから視力が不安定だったのだろうか。今までの通院の日々が音を立てて崩れてゆくショックでこの不安定さについては先生に聞き漏らしたけれど、次回あらためて聞いてみよう・・・。

★その後

メガネ無しでの日常生活を送っている。
けれども乱視があり、夜間や疲れると少々見えにくくなるので弱めのレンズで再作成かと考えている。もちろんその処方箋はあのK医院でなく、ひと駅離れてはいるけれどKN市駅前の、今回の江富眼科医院で。

注:目薬多用は害を生ずることがあるとテレビの健康番組で最近知った。
たかが目薬というなかれ、薬はクスリゆえ、たとえば血管などに混入すると(こんなことがあるらしい)思わぬ障害生ずるとか。不必要な目薬多用させられていた我輩、振り返ればゾッとする。
先の「なんだコレ?」での歯科医とともに、こうして変な医者に遭遇してしまう怖さをこの歳で身をもって思い知ったのだった・・・。

※「白内障手術で死亡率低下か」最近の新聞記事より。
最長20年余りの米国での追跡調査で、手術をした人のあらゆる病気の死亡リスクが受けなかった人に比べ大幅に低かったことが判明。原因不明ながら、患者の体の全体的な機能が向上する可能性が考えられるとのこと。我輩は?

「医は仁術なり」 医は、人命を救う博愛の道である(広辞苑第三版)
「仁術」 (儒教の最高道徳たる)仁を行う方法(岩波国語辞典第六版)

「露出した臓器の話 四」(完結編)おわり

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