494「コロナ禍の夢」

7.27.MON./2020

★コロナ禍で・・・

4月9日の486で、人々がコロナ禍で失職などしてるさなか、我がバイト「休みナシ」とつい愚痴ってしまった。
こんなにも異常事態つづくとは思ってもいず(某先生は掲示板で「つづく」とご指摘だったのに)、路頭に迷っている方々のこと考えると贅沢かつ軽率な発言だったと後悔・・・。

そんな昨今だけど嬉しいことに、ひさしくお会いしていないかつてのお客さん方から思わぬ連絡いただいたりも。で、「近々呑みに・・・」とメール交換すれど、いまだ実現には至ってはおらずのコロナ禍。
思えば我輩個人としても、コロナが世間に認知され始めてからは呑みにも出ていず、こんな単調な日々は人生初めてではないか。
でも慣れとはすごいもので、あんなにも呑み歩いていたことがいまや不思議にも思えてくるほど・・・なんだけど、なにか澱のようなものがやはり蓄積しつつあるんだろう、この状況からの「脱出」願望日々高まり、それも単に呑みに出て鬱積晴らすといった単純かつ現実的なことでなく、いまの我輩にとっては少々非現実的なソレでありまして・・・。
 
★ひとり・・・

そう、軽のワゴン車に寝袋、文庫本、ランタン(深夜の車中読書用)積み込こんで、ひとり旅立つ車中泊放浪の旅・・・といった夢なのだ(古本屋で「車中泊コースガイド」なんてのもとっくに入手済み)。

ここで少々足手まといかもの存在に気づいた。
我輩から離れようともせぬペットのメス犬「テンバ墨丸」だ(おてんば娘のテンバ)。
これは連れてやらねばならぬだろう。
日々慕ってくれる唯一の存在、ほってはおけぬ。
残るペットの金魚7匹は数日エサやらずとも死なぬというし、愛という観念もないだろう奴らゆえ、これは同類みたいな我が妻リ・フジンに(エサは人並み以上必要な)、煮るなり焼くなり、いや活かすも殺すもご自由にとゆだねてもいいだろう・・・490で記した「観葉植物」群は残念ながらの全滅だろうけど。

で、非現実的というのは、何ヶ月分かのガソリン代はバイトで工面するとして(食事は一日カップヌードル一個、もしくはトースト一枚で生き抜く自信、これは経験上ありで)、そのガソリン入れるおのれのクルマがないことだ・・・。
かといってどなたかが「コレあげる」なんてクルマ現物示されたとしても、日本のクルマデザインはなんと醜いンだろうモノ多すぎ、そんな醜いモノには新車でも乗りたくもないという妙な美意識が我輩にはあり(乗ってしまえば外観デザインなんてわかりゃしないのに)・・・が、ますますこれは非現実的な話。

★現実的乗り物が・・・

でも数日前の新聞折り込みチラシで、コレはひょっとして・・・との現実っぽい旅立ち可の代物を見つけた。
バイクである。

さきほどの「コレあげる」の話みたいだけど、墨丸我孫子店時代に知人が「スミさん、ボクのバイク、好きなタイプって言ってたでしょ。8千キロ走ってるけどいりません?」と示されたのが、ホンダZOOMERの50CC。原付き買うならならコレ!の、我輩お気に入りデザイン車種だった。

知人は我孫子の自宅とミナミの店との通勤に使っていたけれど、このたび離婚成立(!)。ゆえに不要になったとのこと。で、売値は10万。
「そんな金ないっすよぉ」というと、「もちろん分割で。月1万で?」
で、手にしたあこがれのZOOMERは、なぜか新車同然。
なんで?と後日判明したのが知人サン、バイクメーター読み違え、実際はたったの走行距離800キロ(ご本人は8000キロとおっしゃってて)。
どうりでバイク屋買取見積もり価格20数万だったというのもうなづけ・・・という話は以前記したけれども、それを今度は我輩が通勤に使っている・・・と、ここで我が「離婚」という因縁話に続けばおもしろいんだろうけど。
ま、それに近い状況下の気分での出奔の夢でもある。

が、悲しいことに病の後遺症でかつてのように自由自在にZOOMER乗り回せる状況ではないのだった。かつ、ZOOMERは予想外の車体重量でもあって。
そんな日々、三輪バイクなら安定感ありヘルメットもいらんし・・・と夢想していたところに、先の新聞折り込みチラシ。
「AP TRIKES」なるフロントガラス、屋根付きで後席には二人分の座席もある大型三輪バイク。車内では寝れんけど、テントは積めるか・・・。

★リサイクルショップ・・・

我輩、ヒマさえあればリサイクルショップを覗いている。
いまのところ行きつけは5店(というか、近隣で発見したのがだけど)。
まぁ、3回巡回で一回収穫アリというところか。
最近の掘り出し物は、小引き出し三段の木製ボックス新品二百円。
洒落た木製三段棚新品七百八十円。
バイトに使用のラム革ウエストポーチ新品千六百円と藍染ベスト新品九百円などなど。

7月24日曇り空の午後、クルマでぶらり3店廻ってみた。
この日は収穫ナシ。
でももう慣れたもので失意の気持ちなどサラサラなしの帰り道、国道沿いのバイクショップ店頭で展示されていたのが、あの新聞折り込みチラシ「AP」現物。
そうか、このバイク屋のチラシだったのか、とUターン。

・・・子供の頃、喜劇役者の大村崑がテレビCMで宣伝の、それは三輪自動車ミゼットみたいな代物。
税込み418,000円・・・何ヶ月バイトすりゃ買えるんだと思いつつ店員さんに「三輪のデメリットって?」と尋ねると、「故障が多いんです、コレって中国製で」(中国製!この若き店員さん正直すぎるわ・・・旅先山奥でエンストしたらどうすんねん?)「・・・じゃあ、屋根なしタイプの国産大型三輪バイクっていくらぐらい?」「あれって市販されてないんですよ。市販の原付き以外はすべてカスタムメイドで。想像以上に高いです、高すぎます」

その「AP」かたわらには、コレまた我輩好みのZOOMERの250CCが・・・不自由な体でなけりゃ・・・が、コレ買えるなら軽四ワゴン中古買えるわなぁ・・・。
こうして、降り出した雨の中、我が夢は店先で雨とともに流れ出しはじめ、豪雨となった数分後、あえなく流れ消え去ったのでありました・・・。

「コロナ禍の夢」完

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