553「春のひととき C」(お一人目の、久しぶり!)

05.04.水/2022

★7年ぶりのNさんはAB型。

この春、大阪の阿倍野に何度か出かける用ができた。
で「阿倍野の某喫茶店で日頃たむろしてますから」と電話頂いていたN女史(?)にメール。
「阿倍野でお会いしましょうか」と。

墨丸営業時代、阿倍野筋のパチンコ店に時間つぶしに入ったことがあった。
20代始めの頃以来のパチンコ台前にして遊び方わからず戸惑う我輩の横に、偶然座られたのが墨丸顧客(非会員)のそのNさん。
その時「思わずハグしてしまった」という話を以前記したことがあったけれど、「思わずハグ」というのもNさん、女性じゃなくってニューハーフだったゆえ。
で、上記の(?)な方というわけだけど、それでハグというのも考えればおかしな話。

後日聞くところによると、そのときは「偶然」ではなく我輩を見かけてわざと横にきたという話だった。
けれど、墨丸のある住吉から遠く離れた地での出会いは偶然といえば偶然。
そんな偶然といえばこれも以前記したけれど、より遠い大阪梅田だったかで我輩道に迷い、通りかかった女性に声をかけた。道を尋ねようと。
するとその方、墨丸顧客(非会員)のR嬢(この方も?)!

お二人が女性ならば運命のめぐり逢いなのかも?
二人ともなると、ちと問題だけど。
そんな(?)な方との出会いの多い我輩、かつて「義理と人情の男心持つ女性という存在は素晴らしい」というと、Nさんピシャリと「なにいうてんのッ、ワタシ達は女の心を持った男なのよ!」
なるほど、そうだ。そうであったった・・・。

そんな(?)なお客が墨丸では多かったことを行きつけの酒場「御堂」の常連、ゲイのキューちゃんにいうとキューちゃん「すみちゃんって同種の匂いするのよ」
が、我輩は性倒錯者ではない。
東京在住時、従姉妹の女性に教えてもらった新宿2丁目のホモバー「智」によく通っていた。
安くて智さんトークも楽しく、丸井、伊勢丹に勤める女性らが安心感もあってかよく来店し、話し相手にもなってくれてのことでだった。
で、とある夕刻早々に智を訪れたとき、一瞬、智さんが困った表情をした。
カウンターには中年男と二十歳ほどの青年の二人連れ。
しばらくしてその中年、青年の肩抱きつつ我輩に、「うらやましいでしょ」とニヤリ。
智さん慌てたように「この方、ノンケなのよッ」
こういう状況予想しての智さんの「困った表情」だったのか。
そのとき、気持ち悪さしか感じなかったんだからやはり我輩は、ホモではない。

現在、リハビリ兼ねて週3日、一日三時間半の公共施設での大浴場清掃のアルバイトをしている。
そこで気づいたのが、男性脱衣場ロッカー内が女性のそれに比べ、汚れていること。
服に付いていたのだろう、小さなゴミやホコリが多いのだ。
浴槽や洗面器の湯垢、なぜか洗い場の石鹸カスも女性のより酷いのを目にすると、女より男の方が汚い生物ではないかと思ってしまう。
で、ホモに生まれなくてよかったと思うほどなのだ。
ま、最近の学説ではホモもレズも「先天的なものではない」らしいけど。

話がそれてしまった。
Nさんの話に戻る。
そんなこともあり、Nさんはてっきり阿倍野在住かと思いきや、返信メールによると住まいは以前のまま。
で、月曜日に住吉の我孫子で会うことに。
場所は、我孫子で我輩行きつけの酒場の一軒「こちぶ」
Nさんわざわざの手土産は、英国製シェービングクリーム。

夕刻5時前から我輩の終バスなくなる10時過ぎまで、主にNさんの水商売時代の話に耳を傾ける。
なるほどだったのは、松平健が来店するという夜、「健さん、来ないわねぇ」と同僚と話してるとママがこっそり「来てるやないの、そこに」
見るとその席には、ただのおっさんが。
Nさんいわく「厚化粧の時代劇俳優だからわからないけど素顔はまるでの別人」で、現代劇で見かけないのもうなづけたというお話。

化粧で思い出したけれど、「天童よしみとピーターか、どちらかと寝るとなったらピーターやなぁ」と、松竹衣装に勤めていた青年にいうと、青年「なに言うてんの、ピーターは化粧取ったら土方のオッサンやったで。天童よしみは着付けのときドラム缶に着物着せてるみたいやったけど」と。
また、日活ロマンポルノ全盛時、「新宿真夜中物語」という作品があった。
冒頭、普通の男が鏡台の前に座る。
そして化粧を始める。
と、次第に見事な美女に変身していくというシーンが衝撃的だった。
ああ、人間って、怖い・・・。

また話がそれてしまった。
先ほどの松平健の話はミナミの千年町の店でのことだという。
当時サラリーマンの我輩も夜ごと千年町辺りで呑んでいたのだ。
なのに、Nさんの店は知らなかった。
でも同じ空気の中にいたのだ・・・。
我が青春時代に住んだ南紀田辺の隣町白浜でも働いたことがあると聞かされ興味を持つと、最後まで店名、なぜか教えてくれずの、まさにのAB型?

「春のひととき」つづく

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