556「今夜の本!」(4/2022のベストは?)

05.21.土/2022

★「今夜の本!」

ガジュ丸評価基準。
5「必読!」 4「オススメ!」 3.5「損なし」 3「普通」 2「不満!」 1「駄作?」
NF=ノンフィクション類 ※=再読 ?=ようワカラン

01.「ラスト・タウン」ブレイク・クラウチ/ハヤカワ文庫/3.0
02.「サイコセラピスト」アレックス・マイクリーディーズ/ハヤカワ・ポケット・ミステリー1947/3.0
03.「昭和が遠くなって」NF/小林信彦/文春文庫/3.0
04.「溶けゆく日本人」NF/産経新聞取材班/扶桑社新書/3.0

★「断念!本」
「面白くなさそう」と中断した、「断念=残念」本は?

スティーヴン・キング「任務の終り」(文藝春秋)を図書館で借りた。
読み始めて「ミスター・メルセデス」の続編と知った。
「メルセデス」はアメリカ探偵作家クラブ受賞作(後記の「死の接吻」も)で期待。が、いままでのキング作品と異なる刑事主役の「ミステリー」という点でか印象に残らぬ作品だった。その続編。前作の内容まるで覚えていずで「?」多すぎ、断念。

★「ガジュ丸賞!」

前回紹介の「パインズ 美しい地獄」「ウェイワード 背反者たち」に続く最終篇「ラスト・タウン」読了。
パインズ住人絶滅必至となった状況に住人はどう立ち向かうのか?そして迎えたラストの一行!
解説者の北上次郎さんは「これで終りとは殺生だ。この続きを読みたい!」
我輩も同様。
このシリーズ、少しでもストーリー明かせば即ネタバレになってしまうのが残念至極。

「サイコセラピスト」は、早川書房のポケット・ミステリー1947点目の作品。
ポケット・ミステリーはポケット・SFと共に、文庫本が大量出版される前の早川書房の主力出版物。
我が中学生時代から貪るように読み、最も古い作品でいまも手元にあるのは、絶版となった(文庫版あり)コーネル・ウールリッチ「黒衣の花嫁」、アイラ・レヴィン「死の接吻」(傑作!)。50年代発行の103と110の、ポケットシリーズ3作目と10作目の作品。
その懐かしのポケミスの、《ニューヨーク・タイムズ》ベストセラー・リスト連続23週ランクイン。世界的ベストセラー・・・なんて知ると読みたくなるではないか。
サイコセラピスト(心理療法士)の主人公セオは、夫殺しの犯人アリシアが収容されている施設に転職。事件後、なぜか一言も口を開かぬアリシアの担当を願い出る・・・。
セオの崩壊寸前の夫婦生活など絡ませながらも淡々と話は進み、「もっと盛り上がらせろよ」と不満抱きながら迎えたラスト・・・愕然。で、長編より中編で充分かとも?
昨今の映画とともに、かつての小説群のほうが心に残る作品が多いと思うのは我輩だけではないだろう。良き時代に生まれてよかった・・・。

だからか、そんな昭和の思い出を綴る小林信彦さんのエッセイのファン。
シリーズ9冊目の本書にも「そうだったのか」の記述が。
終戦後の世相描くテレビ番組で必ず流れる「リンゴの唄」。当時それはそんなに流行っていなかったという。
ようするに食糧難の時代ゆえ、これを流しておけばいいだろうという安易な発想から使われている気がすると小林さんは述べている。実際は「東京の花売娘」「悲しき竹笛」が流行っていたらしい。
ただ、東京の世相回顧談が多い点には関西人としてはついていけずだけど・・・。

4月の「ガジュ丸賞!」は「ラスト・タウン」!

「今夜の本!」(4/2022のベストは?)完

<戻る>