591「今夜の本!/映画!そしての名言!」(3/2024)

4.16.火./2024

[今夜の本!]

ガジュ丸評価基準。
5「傑作!?」 4「読み応えあり!」 3「普通 ±」 2「不満!」 1「駄作?」
NF=ノンフィクション系 ※=再読 ?=ようワカラン ×=断念作
注:「傑作!?」「駄作?」の「?」にご留意。独断と偏見による評価です/映画評価も以上に準じます。

1.「死んでも忘れない」乃南アサ/新潮文庫/3.0+
2.「邪悪な少女たち」アレックス・マーウッド/ハヤカワ文庫/3.0 アメリカ探偵作家クラブ最優秀ペイパーバック賞
3.「ドライ・ボーンズ」トム・ボウマン/ハヤカワ文庫/× アメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞
4.「化身」中編集/宮ノ川 顕/角川ホラー文庫/3.0+ 日本ホラー小説大賞
5.「短編ミステリの二百年 1」短編集/モーム、フォークナー他/創元推理文庫/2.0

「死んでも忘れない」は、平凡な一家の主人が朝の通勤電車内で痴漢の疑いをかけらる。それが家族の運命を狂わせていく心理サスペンス。その狂わせた根本原因、事件が会社や町内、子供の学校にまで知れ渡ったその出所は?の疑問は残るが(読み落としたのかも)、通俗的面白さで+。

「邪悪な少女たち」の主人公二人は裕福な家庭の少女と貧困家庭の少女。ともに11歳。二人が知り合ったその日、共にいた4歳の少女が事故死。二人がそれを隠蔽したため殺害と判断され、それぞれ別の矯正施設へ。そしての25年後、前歴を隠し生きてきた二人はある事件で遭遇。そして新たな破局が・・・という我輩好みの題材。が、文庫600ページが冗長の感で減点。

「ドライ・ボーンズ」は、文庫400ページながら、より冗長。アメリカの田舎町での殺人事件をめぐる一警察官の物語というテーマが好みでないにもかかわらず手にしたのは、本書も探偵作家クラブ賞作ゆえ。が、中盤で放棄(後半、怒涛の展開かも?)。1954年受賞作「死の接吻」(アイラ・レヴィン著/妊娠した女子大生を殺害した青年の犯罪劇)を超えるクラブ賞受賞作にいまだ出会えず(受賞作すべてを読んだわけではないけど)。

ホラー大賞作「化身」は、ジャングルで男が深い穴の底の池に落ちてしまう。穴から脱出できぬ男の体が月日の経過とともに水中生活に順応していく過程を描いた変身記。収録作3篇のうち、主人公の運命を予言するペットのインコを描いた「幸せという名のインコ」が「化身」に比べリアル感ありの秀作で+。

3世紀にわたる短編ミステリを全6巻にまとめたというその1巻目「短編ミステリの二百年 1」12編は、10代の頃に耽読のウイリアム・アイリッシュ作品含まれるものの、古すぎるのか、昨今の翻訳物に面白み感じぬという先入観のせいか(訳文が問題?)、読書疲れだけが残った感。逆に6巻から読んでみようか。

[今夜の映画!]

本よりも傑作に出会えぬ昨今の映画。
ゆえに今月より本とまとめての紹介に変更。
で、1月から3月にかけての鑑賞作から評価4以上の推薦作を挙げてみると・・・

1月 全34作/0作
2月 全24作/1作
3月 全19作/3作

1月推薦作はゼロ。が、瀬々敬久監督、佐藤浩市主演、2016年2部作の「64」があった。
7日間しかなかった昭和64年に起きた誘拐事件の闇を描いた作品。横山秀夫原作、テレビドラマ版経ての既視感ありで評価ダウンとなったけれど、でなければオススメの重厚なドラマ。

2月は、2018年の湯浅弘章監督作「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」。
なにげなく観はじめての冒頭、主人公の少女が高校に進学した初日、クラスでの自己紹介の場で自分の名が言えないシーンが。「何なんだ、この映画?」と思ったら「吃音」がテーマだった。その孤独な少女と音楽好きなのに音痴の同級生少女との交流劇。そんな興味ありのテーマと出演者の南沙良と蒔田彩珠、萩原利久ら若手俳優になじみがなかったゆえの新鮮味も加味され、昨年8月に鑑賞済みなのにこの2月に再鑑賞。で、萩原利久という俳優がその間に放映されたテレビドラマ「たとえあなたを忘れても」(頻繁に記憶を喪失する青年役。評価3+。廃墟ホテルに残されたピアノを弾くシーンになるたびに「何でピアノあんねん!」としらけてしまうのがマイナス点)、「めぐる未来」(過去に戻る能力で恋人が殺害されるのを防ごうとする青年役。評価4)で再認識(主役キャラじゃないと思うんだけど)。ま、本作こそ「独断と偏見」評価かもですが・・・。

こういう障碍者テーマには名作映画がある。
「名もなく貧しく美しく」(高峰秀子、小林桂樹演ずるろうあ者夫婦の物語)、「まごころを君に」(原作ダニエル・キース「アルジャーノンに花束を」。主人公の知的障碍者チャーリーをクリフ・ロバートソンが演じアカデミー賞受賞。上映当時、秀作にそぐわぬ邦題だと酷評された)、「愛すれど心さびしく」(原作カーソン・マッカラーズ「心は寂しい狩人」。主人公の善良な聴覚障碍者演じたのが名優アラン・アーキン。本作の前に傑作スリラー「暗くなるまで待って」で冷酷な殺し屋を演じていた)、三重苦のヘレン・ケラー演じた名子役パティ・デユークの「奇跡の人」、名作なんかじゃないけれど「新宿真夜中物語」(日活ロマンポルノ。冒頭、普通の男が鏡台に向かい化粧をはじめ、美女に変貌していくシーンだけを覚えているおかまの話。荻上直子監督「彼らが本気で編むときは、」にもゲイが出てくるが、桐谷健太と同棲する女役が生田斗真。で、生田のマツコ・デラックス的気色悪さ先行しての断念映画に)。こういうかつては夜の、日陰の人たちが表舞台に出てきた昨今、知らずに観たのがBLドラマという、そんなTVドラマ花盛りというのにはウンザリ(かつて、知らずに読んだ栗本薫「真夜中の天使」は傑作だったけど)。

3月の一押しが、アメリカ映画「FALL/フォール」(2022年のスコット・マン監督作)。
荒野に聳え立つ一本の鉄のポール。その高さ610メートル。エッフェル塔の2倍の高さ。米国内で4番目に高い建造物とか。それは撤去寸前の古びたテレビ電波塔。二人の女性クライマーが立ち入り禁止内の敷地にあるポールの頂上めざし、さび付いた外はしごを使ってひたすら登り始め・・・昨年10月に観はじめ、冒頭から目を離せぬ展開に、再生一旦ストップ。観るのがもったいなく、この3月まで再鑑我慢の作。パニック映画「タワーリング・インフェルノ」で、高層ビル火災の最上階に取り残された人々を救出するためスティーブ・マックイン演ずる消防士が階段使って救助に向かうシーン思い出し・・・あの四苦八苦さ思うに、610bもの高さを人力で登れるもんだろうか?クライマーゆえ可能なんだろうか?との思い残るけれど・・・映画には特異な状況下の人間描いた「シチュエーション・スリラー」ってのがあるが、そのジャンルのオススメ作(ラストの1シーンが通俗的で少々しらけたけど・・・)。

3月の他推薦作は・・・
「ナチュラル」/野球好きじゃないので見逃していた1984年アメリカ映画。バリー・レビンソン監督、ロバート・レッドフォード主演作。評価4。
「ロストケア」/介護の実情背景にした社会派サスペンス。2023年日本映画。前田哲監督、松山ケンイチ主演作。葉真中顕原作に軍配か。評価4。

[今夜の名言!]

デリカシーのない人は、想像力が欠けている。

「いつの日か、共に一杯やろう、カーラ・グレイ」
「約束よ、先に逝ってて」

待ちわびる気持ちは時間と共に薄れても、懐かしさは深まるばかり。
去っていく人が増えるのは、懐かしむ人が増えるということだ。
私の周りは、懐かしい人でいっぱいだ。

結婚は判断力の欠如である。
離婚は忍耐力の欠如である。
そして再婚は記憶力の欠如である。
(以上、出典忘却)

この俺に、暖かいのは、便座だけ。
(柳家さん喬だったかの落語の一節)

女と車の運転は似ている。
いずれは衝突する。
(バート・レイノルズ)

別れるときには、もう次の恋が始まっている。
(アントニオ猪木)

もうギャンブルはやらない、絶対に。賭けてもいい。
(鹿間孝一)

理想、信念が漸次薄れてゆくならば、いかに強大な国家も団体も、遠からず崩れ去るのは歴史の厳粛な事実である。
(the error 失敗の法則 「雪印2つの事件」。皮肉にも創立者の弁)

持ち主が代わり、新たな視線に触れるたび、本は力を得る。
(「風の影」作者カルロス・ルイス・サフォン)

ああ、珍しく本当に、本好きのお客さんだ。
(映画「丘の上の本屋さん」鑑賞中でないと良さわからぬセリフ。評価3+)

夜空に輝く星が見えたら、それは、お父さんが電球を替えてるところだ。
(映画「ワーニング 地球最後の日」評価1)

「生きててよかった」
「君はいくつだ?」
「28です」
「何で’生きててよかった’なんてわかる?」
(映画「人生の特等席」評価4)

カウボーイはさよならを言わない。
‘また会おう‘だ。
サヨナラを言うのは 埋められるときだ。
(TVドラマ「イエローストーン」評価4)

「今夜の本!/映画!そしての名言!」(3/2024)完

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