9.6.金./2025
ながらくこのパソコンに向き合っていず。
で、このコーナーも未着手…というのも、そんな余裕、皆無だったゆえ。
なぜかというと、前回記したEO光のNETFLIX配信海外ドラマシリーズ「LOST」が、なんと8月初旬で配信終了と7月になって知ったゆえ(配信終了なんてのがあるってことや、NETFLIXやらU‐NEXTってなんぞや?ってのが我が現状なんだけど)。
WOWOW放映の「LOST」を自宅で観始めたのは何年前だったか。
WOWOW未接続の墨丸店舗住まいが約8年、閉店してはや約10年経過ゆえ、第1シーズンを自宅で観ていたのはそれら年月以前のこと。
そのドラマは、南海の孤島に墜落した大型旅客機生存者48名のサバイバル劇。これは映画でも小説でも我輩好みのテーマ。
さらにその南洋の島には、いるはずのない白熊が生息していたり、フランス語の救難信号が十数年も前から島内のどこかから発信されていたり、ジャングルの土中に地下に通じるかの金属製のハッチが発見されたりと、思わず「な、なんなんだ、この展開!?」という、それら謎が次々と解明されていくであろう大いなる期待と高揚感を抱かせられる展開だったのだ。
そして今回のNETFLIX接続後、記憶新たにとあらためて第1シーズンから観なおしていた矢先の7月、配信終了の画面通知に気づいたわけ。
で、以降の連日連夜、ああ、8月最終日まで全作観きれるかしらんと危惧しつつの「LOST」ざんまい。我が日常も「LOST」の7月となってしまったのだった。
そしてようやく終盤間際の第5シーズンに達して、「?」
それまでも、渦巻く黒い霧が人を襲うとかの「?」あれど、第5シーズンでは主要人物達の30年後、30年前の逸話が描かれ始め、この子供時代の人物は誰やった?ともなるし、死んだはずの人間が復活したり不老不死の男が出てきたり、さらにはタイムスリップなんぞもあったりと、当初の魅せられた「不条理」がわけのわからぬ、まさに「不条理」のみで迎えたラストの第6シーズン…墨丸営業時代、映画好きのお客さんに「LOSTのラストはどうなったん?」と聞けども「そういや途中までしか観てないなぁ」とのご返答…いま、その観賞中断のお客心境、理解。
※「LOST」って「失われた」と解釈していたけれど「無駄に過ごした」という意味もあると観終わって知っての、評価2(当初の魅せられた展開無視すれば、1)。
※シリーズ番外編描いた三部作の文庫本買ってしまっていた…。
※併せて、これは全編ドラマチックなゾンビドラマ「ウォーキング・デッド」、見逃していた最終章11シーズンも観賞終了。もう一度観なおしたい、これは傑作評価の5!
そんなわけで今回、6月〜8月まとめての以下…。
★ガジュ丸評価基準
5「必読の傑作!」 4「一読の価値ありの秀作」 3.5「損なしかも?の佳作」3「普通」 2「不満!」 1「駄作?」
NF=ノンフィクション類 ※=再読 ?=ようワカラン ×=断念作 ガジュ丸賞=月間トップ作
注:映画評価も以上に準じます
[今夜の本!(6月)]
01.「名短編、ここにあり)」12作家/宮部みゆき 北村薫 編/ちくま庫/3.0
02.「夢現(ゆめうつつ)」14作家/日本推理作家協会 編/集英社文庫/3.0
03.「七つの黒い夢」7作家/新潮文庫編集部 編/新潮文庫/3.0
04.「情に泣く 人情・市井編」7作家/細谷正充 編/朝日文庫/3.0
05.「黒い軍旗」8作家/山田 譲 編/飛天文庫/3.0
06.「いじめの時間」7作家/新潮文庫編集部 編/新潮文庫/3.0
07.「白昼夢」9作家/集英社文庫編集部 編/集英社文庫/3.0
08.「あなたの後ろにいるだれか」8作家/新潮文庫編集部 編/3.0
09.「乱歩の選んだベスト・ホラー」12作家/森英俊 野村宏平 編/ちくま文庫/3.0
思い起こせば小学生時代、親から「少年少女世界文学全集」買い与えられ「ロビンソン・クルーソー」「15少年漂流記」「ああ無情(レ・ミゼラブル)」などに夢中の反面、世人からかけ離れた人物が主人公の「名探偵ホームズ」や「怪盗ルパン」なんてのには見向きもせず(現在でも)、中学生になってからは出版され始めた早川書房や創元社の翻訳作品にどっぷり。
そんなある日ふと気づいた。
授業でとりあげられるゆえ日常読書から遠ざけていた日本の作品を読んでいないことに。
そこで手にしたのがいわゆるアンソロジー。日本人作家の短編選集。その選集から好みの作家見いだして…その結果、今でも再読したしの作家はというと…石川達三、南條範夫、野坂昭如、三浦綾子、太宰治、遠藤周作、加賀乙彦、五味康祐、小松左京、半村良、星新一、新田次郎、吉村昭、黒岩重吾、大藪春彦、夏樹静子、江戸川乱歩、柴田翔、庄野潤三、杉本苑子、水上勉、山本周五郎、安部公房、福永武彦、向田邦子、滝口康彦、谷崎潤一郎、西村寿行、綱淵謙錠、仁川高丸、柴田錬三郎、松本清張、久生十蘭、田辺聖子、山田太一、津本陽…と、思いつくままこんなにも作家名挙げられるというのに(今夏、気づけば入り口がツタに覆われ容易に入れぬ様となってしまった倉庫改造のほったらかし書庫点検すればさらにプラス)…
この6月、若かりし頃の初心な読書体験もう一度と、集中してアンソロジー作品読んでみての上記がその作品群。が…
突出した作品に一篇も巡り合わなかったではないか!
ということは、あらたに「読みたい」作家発掘度0パーセント。
計125人もの作家作品読了というのにだ。
思えば今回のアンソロジー、大半が我輩より年下の作家の作品群。
年下ながら数少ない昨今ご贔屓作家のうち、宇佐美まこと、長江俊和、篠田節子、角田光代の作品あれど、今回はともに印象に残らずの作品…(いや、評価3.5の作品集が一冊あったが、時の経過でそれがどれだったか不明という体たらく)。
振り返れば青春時代、若き村上春樹と村上龍が文学界に登場。年上ながら同世代の彼らの出現に嫉妬したのか当時、彼らの作品手にせず。
そうこうしてると、二人に触発されたのか若手作家が雨後の筍のごとく誕生という時代を迎えていた(なんでコレが活字に?という作家作品ふくめて)。
ウッディ・アレン監督映画のなかで「最近の映画は面白いけれど何も残らない」というようなセリフや、書評家の北上次郎だったかの「過酷な戦争体験世代以降の冒険小説はいまひとつ」というような意見に納得していたけれど、今回は我が感性の鈍化?脳の萎縮?などと危惧。そんなとき、精神科医の和田秀樹さんの文章を目にした。
いわく「年を取ると、脳が衰えて感動できなくなると思われているようですが、それは大きな間違いです。正しくは、年を取ると経験値が上がり、レベルの高いものを求めるようになる」云々と。
若い頃は350円の牛丼で感動するのに、年を取ると本当に美味しいものでないと感激できなくなることと同じことらしく、少しホッ。
いや、ホッで済むのか?鵜呑みにしていいのか?現在活躍中の作家作品が「面白くない」?まさかなぁ?
でも、若い(我輩からみれば)ベストセラー作家本を面白く読み終えても何も残らずというそんなさなか、その代表的作家のひとり、湊かなえ「豆の上で眠る」読後「これは心に残る作品だ」と結論付けたというのに、彼女の他作品同様、数日後には何も残っていないことに気づき…う〜ん、はたして「経験値」で片付くんだろうか?我輩の場合…。
でも今回ただ一篇、8月に入ってだけど読み終えたアンソロジー「傑作随想41篇 あのひと」のなかに印象的な作品が。作家の辻仁成が少年時代に知り合った、片足が義足のあーちゃんという少年との交流話。
ハンデがあることで心を閉ざしていたあーちゃんが笑顔を見せるに至る話なのだが、こんなに読ませる作品を描ける人なんだと思わせてくれたのだ。
だけど、むかし本人をテレビか何かで目にし、生理的にイヤなタイプだと気づき…さらに後日、ラジオ番組でやしきたかじんが「辻仁成が番組にゲスト出演したとき、なんにも喋れへんねん。話題ふってもギターつまびくだけ。ラジオで一言もやで!なんやねん、あいつ」との話を耳にし、やっぱり好きくないと、未読の彼の著書、古本屋に売り飛ばしたことが…でも、これを機会に彼の作品読んでみようと…は、なぜか思いませんでした。
[今夜の本!(7月)]
ということで、7月は数冊手にしたけれど、冒頭に記した事情ですべて完読に至らず、ゼロ冊!
[今夜の本!(8月)]
1.「傑作随想41篇 あのひと」NF/41作家/新潮文庫編集部 編/新潮文庫/3.0
2.「コロラド・キッド」3篇/スティーブン・キング/文春文庫/3.0
3.「暗黒学校」上下/二宮敦人/アルファポリス文庫/3.5
4.「李朝残影 梶山季之 朝鮮小説集」13篇/川村湊 篇/インパクト出版会/3.5
5.「80歳の壁」NF/和田秀樹/幻冬舎新書/3.5
かつて、新刊発売されれば即購入のS・キング作品も、これも経験値によるんだろうか近年面白くなく、今回の作品も図書館本。つまらぬ時代を迎えてしまった…。
漫画チックな表紙イラストで普通なら手に取らぬのに、内容に興味あり。で、意外に読めたのが上下巻の「暗黒学校」(展開に整合性に欠ける点ありだけど)。
文化祭の打ち合わせで休日に高校に集まった生徒13人。気づけば校舎の窓すべての外が黒い岩で塞がれ、かつ校舎全体が岩に覆われ脱出不可能な世界と化したことを知る…地盤沈下か何かの呪いか異次元なのか、それとも…というサバイバル劇。
偶然にも、本書と同時期に観た映画「ブリック」('25 独 評価3)、「ザ・タワー」('22 仏 評価1)のテーマが、ともにマンションが黒い壁や暗黒空間に覆われ住人が脱出不可能の状況に陥る面白そうな話。が、ともに納得できぬ展開作。
同様の脱出不可能映画に、S・キング原作の「イン・ザ・トール・グラス」('19 米)があった。アメリカ中西部の人気のない場所を車で通りかかった兄妹が、広大な草むらの中から助けを呼ぶ子供の声を耳にする。迷子になって出られないという子供の声を頼りに背丈を超える草むらのなかに分け入っていくと、兄妹も出られなくなってしまう、という物語。で、思わず見入った。が、夜のシーンになると画面が暗すぎなにが何だか分からず、かつ「LOST」同様、の不条理ドラマ。でも「LOST」同様、導入部見入ってしまっての、評価2(既読の原作本も低評価の覚えあり)。
※むかし観たレンタルビデオのとある映画の夜のシーンもそうだった。そのシーンになると画面が暗すぎて人の動きが分からず、これはテープの劣化かと。が後日、同じ映画がテレビ放映され、それは劣化じゃなかったと判明。なのに今日でもこんな撮影がまかり通っていることにあきれた次第。
「ウォーキング・デッド」に触発され観たのが(「観てしまった」が正しい)「28日後」('03 英 再観)と「28週後」('07 英)。ともにゾンビが走り回るというその活発さが「鬼ごっこ」に見えてげんなりの、評価2。
アルバイト先の先輩が「為になった」と貸してくれた'22年の年間ベストセラー総合第一位。老いを楽しく乗り越える、高齢者のバイブルという「80歳の壁」では、著者が高齢者100人の遺体を解剖した結果、本人が自覚していないにもかかわらず、ほとんどの人にガンが見つかるという話が「為になった」。つまり、高齢者になれば誰の体にもガンがあり、世間の常識では「早期発見・早期治療をすべき」とされているが、本人が気づかないガンもあるし、生活に支障のないガンもある。とくに年を取るとガンの進行が遅くなるため、放っておいても大丈夫なケースは意外と多く、ガンにならないための我慢は意味がなく、好きなものを食べたり飲んだりしながら生きるほうが、むしろストレスが少なくなり免疫力が高まってガンの進行を遅くする云々という話。高齢になると煙草ももう我慢しなくともというけれど、コレは毎年値上げされることが我輩にとって問題。
で、8月のガジュ丸賞は、梶山季之「李朝残影」!
1930年(昭和5年)朝鮮の京城(現・韓国ソウル)生まれの著者が、少年時代に暮らした朝鮮を舞台にした作品集。日常生活における創氏改名などの朝鮮人差別の当時の生々しい世情を垣間見ることができ、反日感情当たり前と思わされること多しの、まさに先人にしか描けぬ作品集。
[今夜の名/迷/言!]
「ウォーキング・デッド」第1シーズン第一話「目覚めの朝」冒頭での、主人公の保安官リックと同僚シェーンとのパトカー内での、記念すべき最初の会話。
シェーン「男と女の違いは?」
リック「ジョークか?」
シェーン「まじめな話だ。女は電気を消さない。つけ方しか知らないんだ。いつでもつけっぱなし。そのくせ偉そうに語る。‘地球の温暖化は深刻よ'とな。そこで俺は聖書を引用した。”妻よ、汝と世界中の女が電気の消し方を学べば、地球温暖化を防げる”」
「今夜の本!」(附録;今夜の映画と名/迷/言)(6〜8/2025)完