595「今夜の本!映画!そしての名(迷)言!」(6〜7/2024)

8.14.水./2024

[今夜の本!]

ガジュ丸評価基準。
5「傑作!」 4「読み応えあり!」 3「普通」 2「不満!」 1「駄作」
NF=ノンフィクション系 ※=再読 ?=ようワカラン ×=断念作
注:映画評価も以上に準ず/評価4以上がおススメ作品!

6月

1.「府中三億円事件を計画・実行したのは私です」NF?/白田/ポプラ社/1.0
2.「号泣」前川裕/新潮文庫/3.0+
3.「紀州のドン・ファン 美女4000人に30億円を貢いだ男」NF/野崎幸助/講談社+α文庫/3.0+
4.「昭和の凶悪殺人事件」NF/小野一光/幻冬舎アウトロー文庫/1.0
5.「能登怪異譚」短編集/半村良/集英社文庫/3.0
6.「主婦病」短編集/森 美紀/新潮文庫/3.0+ R-18文学賞読者賞
7.「名も知らぬ夫」短編集/新章文子/光文社文庫/3.0

bP 名のあるポプラ社の本だからと、でも半信半疑で手にした2018年出版の「三億円事件実行犯」と名乗る人物の手記。
が、今までに推測されてきた犯行関連事項寄せ集め、かつ興味ある事件後の犯人の人生記述皆無という新味のなさ。ポプラ社不信に陥る、駄作以下の小学生の作文。

bQ 「号泣」は、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞「クリーピー」の作者本かつ「怖いのに、読むのが止められない!異様な戦慄に満ちた傑作」の謳い文句が期待させすぎの残念本。

bR 若い妻に殺害されたかもの話題の人物の自叙伝「紀州のドン・ファン」
我輩の第二の故郷ともいえる青春の地、紀州・田辺市が主人公の生活地であり、町のどこかで本人とすれ違っていたかもとの親近感で一気読み。屑鉄拾いから始めコンドーム訪問販売、金融業(本人いわく「悪徳ではない」)、酒屋などの商売話がこれまた興味深い(20代女性にしか性的興味を抱けぬというのは異常だけど)。続編あり。

bS 反して、「なんなんだよ!」と放り投げたくなるのが、「昭和の凶悪殺人事件」
昭和の凶悪事件として30事件が取り上げられているものの、冒頭の「金属バット殺人事件」でもう「?」。両親を殺害した息子の名が「田中浩二」。あれ、そんな名じゃなかったよな?(本名「一柳展也」)かつ事件現場名も「関東地方某県Y市」と、全編この調子。いや、全編でなく「大久保清」なんて犯人実名も出てくるわけで、何を基準とした構成なのか、掲載事件そのものが実際の事件かと疑いたくもなってくる始末。「週刊実話」連載をまとめたという三流以下本。

bT かつて、現代の吸血鬼テーマ「石の血脈」発端で手当たり次第に読んだ伝奇小説家の「能登怪異譚」
全編が能登方言で物語られ、その方言に気を取られ内容うろ覚え。

bU それぞれが問題を抱える主婦たちの日常描いた6編「主婦病」
冒頭、小学生に道を尋ねる金髪青年の描写が数行。が、次の短編からも、金髪ながら「すっとした姿勢のよさと、照れ臭そうなしぐさが、彼の純朴さをかもしだして」いるその彼が登場しつづけるのだ。「ん?なんなんだよ〜この男」と思いつつのラストの章で・・・そのラスト念頭に再読したし、かつ著者他作品も読みたしとなる。

bV 「昭和ミステリールネサンス」が副題の「名も知らぬ夫」。
著者は1922年生まれの江戸川乱歩賞作家(2015年死去)。59年のその受賞作「危険な関係」は読んだ覚えあるものの、山前譲氏編の8編のうち表題の「名も知らぬ夫」(25年ぶりに従兄の男が訪ねて来る。婚期をすぎた女主人公に昔の記憶はないが、その男は 優しく魅力的でほどなく二人は結ばれる。が、次第に男の正体が明らかに・・・)以外は心に残らずの短編集。翻訳作に「見知らぬ夫」「見知らぬ妻」なんて邦題のミステリーがあるけれど、こういう題名だけでもうゾクゾクしてしまう我輩。

7月

1.「武士くずれ」短編集/松本清張/中公文庫/3.0
2.「三日市は河内のまほろば」NF/香川勇/黎明書房/3.0
3.「噂」萩原浩/新潮文庫/3.0− ※
4.「「右翼」と「左翼」の謎がよくわかる本」NF/鈴木邦男/PHP研究所/3.0+
5.「短編礼讃 忘れかけた名品」短編集/大川渉 編/ちくま文庫/3.0
6.「霧笛荘夜話」短編集/浅田次郎/角川文庫/4.0
7.「ため息に溺れる」石川智健/中公文庫/3.0
8.「地のはてから(上)」乃南アサ/講談社/4.0

産経新聞に「予想外の結末に震える どんでん返し本」の特集記事が。そこで文化部記者と書店員の4名が取り上げた6冊とは・・・以下。

「イニシエーション・ラブ」(乾くるみ/文春文庫)
異論なし。記事冒頭で取り上げられていることにも異論なし。
かつて本書を最終章まで読み進み、「え?これって単なる恋愛小説じゃん!」
けれども「必ず2回読みたくなる」とのうたい文句通り、読み直して気づくラストの行で「!」・・・読み直さなかった方は「ただの恋愛小説」感で終わること必至の、これぞ「どんでん返し本」!(映画化作品もおススメ)。

「叙述トリック短編集」(似鳥鶏/講談社タイガ)
ふざけた作者名ゆえ手にする気にもならず。本書以外の著者作も題名からして好みではなく、本書は書店で見かければページ繰ってみようか程度の興味どまりで未読。

「ため息に溺れる」(石川智健/中公文庫)と「噂」(荻原浩/新潮文庫)
共に「どんでん返し」というより、単なる「落ち」で終わっていると思うのだが。猟奇殺人劇「噂」は再読ながらその「落ち」さえ忘れていたほどの衝撃のなさ・・・。

「イニシエーション・ラブ」以前に読んだ「葉桜の季節に君を想うこと」(歌野晶午/文春文庫)は、「イニシエーション」に次ぐ、まさかの「どんでん返し」が待ち受けているおススメ本!

(残る一冊は子供向けの「パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち」柴田ケイコ/KADOKAWA。ゆえに未読)

[今夜の映画!]

6月 鑑賞15作(+断念作5本) おススメ作は・・・
「パッチ・アダムス」(コメディ/1998年アメリカ/監督トム・シャドヤック/主演ロビン・ウイリアムス)

7月 鑑賞41作(+断念作7本)
「バイロケーション」(ホラー/2014年日本/監・安里麻里/主・氷川あさみ)
「イノセンツ」(ホラー/2021年ノルウェーetc/監・エスキル・フォクト)
「法廷遊戯」(サスペンス/2023年日本/監・深川栄洋)
「新世界」(サスペンス/2013年韓国/監・パク・フンジョン)
「空気殺人〜TOXIC〜」(実録ドラマ/2022年韓国/監・チョ・ヨンソン)

(気力尽き内容紹介省略。6月7月ともに評価5作品ナシ)

[今夜の名(迷)言!]

一日だけ幸せでいたいなら床屋に行け
一週間幸せでいたいなら車を買え
一か月だけ幸せでいたいなら結婚しろ
一年だけ幸せでいたいなら家を買え
一生幸せでいたいなら正直でいろ
(TVドラマ「正直不動産2」)

一酔の夢
一期の栄華
一盃の酒
(上杉謙信 辞世の句)

何事にも終わりがある
どの映画にも終わりがあるのだ
いつも別れを言えるわけじゃない
小学校の6年間は中高の6年間に憧れ
中高の6年間では大学の4年間に憧れる
そして残りの人生では
青春時代を懐かしむのだ
(出典先 忘却)

「今夜の本!映画!そしての名(迷)言!」(6〜7/2024)完

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